共同記者発表会では、Azure Media Analyticsを用いたデモンストレーションが行われた。あらかじめ動画コンテンツをAzure Media Analyticsで分析した状態から、Azure Media Indexerを用いて字幕を自動生成し、Bing Speech APIで9カ国語の字幕へと自動翻訳を披露。さらに、顔検出を行うAzure Media Face Detectotによる顔のインデックス化と、Azure Media Indexerによるキーワード生成機能で、映像内の登場人物をアイコン化し、音声をテキストタグとして扱う機能も見せた。

映像コンテンツを事前にAzure Media Analyticsで読み込ませ、音声をすべてテキスト化。動画の字幕としても利用できる

翻訳機能を利用することで他の言語で表示させることも可能だ

読み込んだ音声にタグ化し、登場箇所をスライダー上で示している。もちろんクリックすればタグ付けした部分に再生ポイントが移動する

Azure Media Indexerは、キーワード抽出機能を備えている。タグ化されていない単語でも、動画内の音声をテキストとして検索可能だ。また、クラウド上で顔編集を実現するAzure Media Redactorを使用し、登場人物の顔を「ぼかす」機能も披露。こちらついて大多氏は、「例えば、動画を配信する直前に、演者が逮捕された場合にも使える」と冗談を交えて評価した。

音声データをテキストとして検索するシーン。タグと同じように検索結果から再生位置を変更できる

顔にぼかしをかけることで権利者侵害を抑止できる

動画の自動要約機能。会場では28分の動画を1分にまとめていた

さらに、動画の概要を作成するAzure Media Video Thumbnailsにて、28分の動画を1分に短縮。大多氏は、「若い頃にAD(アシスタントディレクター)として30秒の予告動画に5時間もかけたことがあった。(Azure Media Video Thumbnailsが現場で使えるようになれば)ADは楽になる」と評価する。

日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ部門 プラットフォーム戦略本部 本部長 大谷健氏

日本マイクロソフトも「関係者へヒアリングしても比較的高い評価を得た。将来的には予告編を自動作成できるまで精度を高めたい」(日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ部門 プラットフォーム戦略本部 本部長 大谷健氏)と述べている。これらの機能すべてをDREAM FACTORYが実装する訳ではないものの、今後は必要に応じて検討していくという。

フジテレビは、DREAM FACTORYを「『フジっ子』を生み出すエンジンとしたい」(大多氏)と述べる。かつて1980年代のフジテレビは、お笑いコンテンツを中心に大変な勢いがあった。インターネットの普及は直接的にも間接的にもテレビ離れの一因として語られ、テレビ業界全体は厳しい戦いが続いている。

既に多くの動画投稿サイトが存在する中、後発のDREAM FACTORYが確実に成功するかといえば、「それほど甘くはない」(大多氏)。フジテレビと日本マイクロソフトの連携が何を生み出すのか。Microsoftの技術を使いながら、日本製の映像コンテンツを世界へ向けての配信することは、新たな可能性を見いだすに違いない。

なお、DREAM FACTORYでは動画コンテストも実施する。詳細はDREAM FACTORYのWebサイト、「世界に羽ばたけ!ショートムービーコンテスト」、「フジテレビ DREAM FACTORY is NOW ON Azure 広告動画コンテスト powered by 日本マイクロソフト」を参照してほしい。

阿久津良和(Cactus)