「電車の中など、突然話始めたら困るシーンもあるので、利用者の声かけをきっかけに話すようにしているのです」と、ロボホンを担当しているシャープのコミュニケーションロボット事業部商品企画部の景井美帆課長は言う。説明してくれる30カ所は、日本へ来るのが、2、3回目の客なども想定しているので、いわゆる王道の観光スポットばかりを選んでいるわけではいそうだ。今後は30カ所からさらに増やしていく予定だという。さらに、今回のロボホンがやってくれるダンスやは歌は日本文化にちなんだものになっていて、ロボホンを通じても日本文化に触れられるようにしている。
持ち歩ける、かわいい! 魅力を最大限発揮
「今回大きいのは、持ち歩けるというところ」と景井さん。店頭で客を案内するようなタイプのロボットはもっと大きく、多くの人を相手とするのを得意としている。ロボホンは小さく、そういった用途には適さない。一方で、小さく持ち歩けるため、1人を相手としたコミュニケーションが得意だ。カバンに入れて持ち歩いて、おすすめの観光を教えてくれるほか、自撮り棒がなくても、ロボホンが写真を撮影してくれる。暇な時は、日本の踊りを披露したり、歌を歌ったりして旅のパートナーになってくれる。
ロボホンは日本国内にしか対応していないため、今のところ海外で利用できない。気に入った客がロボホンとの思い出を持ち帰ることができるように、プラモデルや、オリジナルロボホンウェア、卓上ホルダなどのグッズをレンタルカウンターで購入できるようにするという。
また、貸し出しは現段階では、羽田空港の1カ所のみだが、返却は、成田空港、中部国際空港、関西国際空港、福岡空港の4カ所でも可能。羽田空港から旅をスタートさせ、帰りの便で利用する空港で返却する。レンタル料金は、24時間で1500円、48時間で3000円、72時間で4000円。以降12時間ごとに500円だ。
このレンタルサービスは、YouTubeなどのインターネット上の紹介、そして羽田空港内での案内を通じて周知を進める。最初は20台を用意、評判に応じて、台数を増やしたり、レンタルできる場所をほかの場所に広げたりすることも、考えていくという。
「今回はあくまで海外の需要をみる狙い」と景井さんは説明するが、人気がどれだけ広がるか気になるところ。一時は、会社の存続が危ぶまれたシャープの商品力を海外に知ってもらう好機であることはいうまでもないが、一人ひとりの旅の同行するロボホンから、拾える旅行者のニーズも興味深いところ。ロボホンの「ロボてなし」に注目したい。