最大の特徴は、原作における「並列化」も再現したところだろう。原作での「並列化」は、複数のタチコマそれぞれが独自に見聞きした情報を全個体で共有する、という意味合いの言葉で、作中でも重要な機能となっている。
この「並列化」を1/8タチコマにも導入。ひとつの1/8タチコマに伝えた情報はCerevoのクラウドを通じ集約され、数日後に他の1/8タチコマにも共有される。例えば、タチコマAの映像センサーにりんごを見せ「これは何?」と尋ね、タチコマAが「しってますよー、りんごでしょ?」と回答するとする。続けてユーザーが「りんごは甘いんだよ」と伝えると、タチコマAは「りんごは甘い」という情報を認識し、クラウドへ送信。
すると、他のタチコマにも「りんごは甘い」という情報が"並列化"され、数日後に別のユーザーがタチコマBにりんごを見せると、タチコマBは「しってますよー、りんごでしょ? りんごは甘いんだよね」と、直接学習していない情報も話すようになる。
情報の「タチコマ化」やNGワードのチェックも実施
「並列化」機能では、ユーザーが情報を伝えたあと、クラウドで集約された情報をCerevo側で「タチコマ」らしい喋り方や動作に自動調整したのち、全個体に還元される。また、NGワードや個人情報といった不適切な情報が「並列化」されないよう、集約された情報は人力によるチェックが行われる。
なお、この一連の流れには、音声認識、自然言語処理、画像認識、音声合成といった技術が組み合わせられているという。音声認識はGoogle音声認識、自然言語処理にはJetrun(自然言語対話API)、画像認識にはマイクロソフトの人工知能サービスCognitive Services、音声合成エンジンはエーアイの音声合成技術が採用されている。
会話の内容に合わせて動作
ハードウェアとしては計21個のモーターを搭載し、会話の内容に合わせてタチコマが自律動作する。動作部は脚部、両腕やポッド部、映像センサー部(前面1基)などが動作し、スマートフォンアプリから操作可能。また、各脚下部には走行用ホイールを備え、低速で走行可能。姿勢コマンドも用意され、脚部各関節やポッドを動かして作中に登場する姿勢を再現できる。
充電は専用のACアダプタ(同梱)を使用し、ポッド下にコネクタを搭載。ただしバッテリはポッド内には存在せず、各脚の内部に配置されているという。「全体の重量バランスの関係で、ポッドの中はほぼ空洞」(同社代表取締役の岩佐琢磨氏)。駆動時間は約6時間だ。
「攻殻機動隊」好きのための本格ファンアイテム
Cerevoでは、通常は10カ月ほどで製品を開発するところ、この1/8タチコマでは1年を費やした。製品のターゲットは「攻殻機動隊」シリーズのファン。製造台数は受注状況をみながら決めるが「読めないところがある」とする。
同社代表取締役の岩佐琢磨氏は「今回は価格も性能もオモチャではない」と紹介。価格はサーバ利用料込みで157,400円(税別)ではあるが、「音声認識を搭載したロボットと考えると、量販店で売られている価格と同程度で高額ではない」とする。
本体サイズは352×391×249mm、重量は1.5kg。バッテリ駆動時間は約6時間。対応アプリはiOS版がiOS 9.3以降、Android版がAndroid 4.4以降。対象年齢は15歳以上。
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