SKYACTIVエンジンで飛躍的に内燃機関(エンジン)の燃費性能を向上させ、ガソリンのみならずディーゼルターボエンジンを市場に投入し、マツダは好評を得てきた。では、電動車両への取り組みはどうかというと、トヨタ自動車のハイブリッドシステムを活用した「アクセラ」のハイブリッド仕様はあるものの、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)の準備はない。
米国カリフォルニア州では、メーカーに電動車両の販売を促す「Zero Emission Vehicle(ZEV)規制」の強化が2018年に迫っているが、2018年モデルとは、実は今秋から発売される新車を指す。マツダはどのようにZEV規制を乗り切ろうとしているのか。
米国で目前に迫る環境規制、マツダはどうする
2018年から、米国カリフォルニア州でZEV規制が強化される。それまでは大手自動車メーカー中心であった規制対象が、マツダや富士重工業(スバル)といった中堅自動車メーカーにも広がる。また、従来はZEVの一部に加えられてきたハイブリッド車(HV)が外され、適合車の対象となるのはEV、FCV、そしてPHVに限られることになった。昨今、ドイツ車をはじめとする欧州車にPHVが増えてきたのは、その対処のためである。
マツダが2007年に表明した「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」にはモーター駆動技術について記されている。すでにその時点で、マツダは電動化技術を将来的に導入していくことを伺わせている。しかし、SKYACTIVの新世代技術を全面的に採り入れた、第6世代商品群の第1弾となる「CX-5」が2012年に発売され、その2世代目が登場するまで時を経た今日に至ってもなお、電動車両への取り組みについては小飼雅道社長の表明のみで、現車はない。
2018年への対処が年内に迫る中、研究開発の取締役で専務執行役員の藤原清志氏に問うと、「2019年にEVを出します」との答えが返ってきた。「しかし2018年には間に合わないので、貯まっているクレジットや台数の先送りで対処します」と言う。
ここで少しZEV規制について解説しておく。