変なホテルに感じる懸念
ただし懸念もある。自社物件にしろフランチャイズ物件にしろ、増えていく店舗が画一化してしまうのではないかという心配だ。
ハウステンボス店は開業以来、約1年半を経ても3月の稼働率は90%と高い。開業したばかりの2号店も80%稼動と、今のところ順調だ。しかし、そこには物珍しさというプレミアムが含まれているはず。もし、今後増える変なホテルがどこに行っても同じでは、稼働率の低下を招きかねない。
そのあたりを考慮してか、変なホテルは、2ブランド戦略を打ち出している。ひとつはエンタテインメント性の高い現行の「変なホテル」ブランド、もうひとつはビジネスユース向けの「変なホテル」ブランド(ブランド名は未定)だ。さらには立地に応じて全店舗の色合いが異なるように味付けをしていくという。
さらには、変なホテルの"変"の字には、常に進化し、変わり続けるという意味が込められたものであり、宿泊者アンケートを通じて、常に改善・改良を行っている。
具体例として「ロボットだと、ロビーが寂しいと言われるので、ロボットのオーケストラを入れたりだとか、ロボットがカクテルを作るロボットバーを作る準備もしています。変なホテルは常に改善して、進化していく。快適さと面白さは年を追うごとに増していくと思います」など、常に進化を意識した運営を目指していると澤田氏は話す。ある意味、同じ店舗でも、訪れるたびに新しい発見があるというわけだ。
しかし、「改善といっても、またすぐに飽きられるのでは」といった懸念は払拭できない。「ロボットに病気はないが、壊れることならある」という点も見逃せない。それらが裏目に出れば、採算に悪影響を及ぼしかねない。
夢のある事業
このあたりは注視していくべき部分だが、変なホテルの本来的な価値は、生産性の高いホテルであり、そこにロボットを活用したにすぎない。ロボットが飽きられても"宿泊する"というホテルの本来的な役割が損なわれるわけではなく、採算ラインを大幅に上回る運営ができている現状、まだまだ夢のある事業といえるだろう。
さらには、長期スパンで見れば、技術の進化とともに今以上に魅力が増える事業といえる。たとえば、AI技術の発達により、雑談をこなせる受付ロボットも実現できるだろうし、画像認識技術と顧客データを紐付ければ、宿泊者個々人に応じた"おもてなし"もできるだろう。そうした技術の採用には、コストやセキュリティの問題など、多数の課題が生じるだろうが、変なホテルは、大きな夢の詰まった事業となりそうだ。