「外に出す」のは避妊じゃない!

世間一般に広く浸透しているものの、実はあてにならない避妊法もあります。

■腟外射精法
射精の直前に腟から男性器を抜いて、外に射精する方法のこと。これで避妊できると勘違いしている人も多いのですが、男性器からは射精する前から精液が少しずつ出ているので、避妊にはなりません。

■基礎体温法
基礎体温を測定し、生理周期から排卵日を予測して、妊娠する可能性の高い日に性行為を控える方法です。基礎体温は体調にも左右されるので、排卵日を正確に知ることは難しく、確実な避妊法とは言えません。

■オギノ式避妊法
次の生理予定日から排卵日を予測して、その前後数日間は性行為を控える方法です。生理周期はしばしばずれるものなので、確実な避妊法とは言えません。

■生理中の行為
「生理中は、性行為をしても妊娠しないから避妊しなくていい」というのも誤解です。確かに生理中は排卵しないため、妊娠する可能性は高くはありません。しかし、生理周期や排卵期はずれやすいもの。しかも、精子は女性の腟内で1週間ほど生存することもあります。つまり、生理中に避妊をしないで性行為をした場合、たまたま生理が長引いて生理が終わった1~2日後に排卵が起これば、生き残っていた精子と出会って妊娠する可能性は十分にあるということです。

意外と多い!? 中高年での「中絶」

厚生労働省の発表によると、平成27年度の人工妊娠中絶件数は17万6,388件。年代別にここ数年の推移を見ると、10代や20代の中絶件数は減少傾向にあるのに、40代や50代ではほとんど変わっていません。避妊の知識が十分にあるはずの中高年の場合、避妊の失敗や「もう妊娠しないはず」という油断が、望まない妊娠を招いているケースが多いと推測できます。

中絶手術は、女性の心と体に大きな負担をかけます。妊娠を望まないカップルが性行為を行う場合、少しでも妊娠の可能性があるのであれば、避妊は必須です。パートナーとともに、より確実な避妊を心がけましょう。

※画像は本文と関係ありません


記事監修: 鈴木俊治 医師

葛飾赤十字産院 副院長
日本産婦人科医会 副幹事長
1988年長崎大学医学部卒業、日本医科大学付属病院産科婦人科学教室入局、葛飾赤十字産院産婦人科派遣をへて米国ロマリンダ大学胎児生理学教室へ研究留学。帰国後、日本医科大学産科婦人科学講師、学助教授、東京臨海病院産婦人科部長を経て、現在は葛飾赤十字産院にて副院長を務める。