2月にスペイン・バルセロナで開催されたモバイル業界最大の展示会「Mobile World Congress 2017」では、スマホシェア世界1位を誇るサムスンの「不調」が目立った。
2016年に「Galaxy Note7」の発火問題で大きく揺らいだ同社だが、回収したNote7の再利用について環境保護団体から批判を浴びるなど、苦境は続いている。その間にも、虎視眈々とシェア拡大を狙っているのが中国ファーウェイだ。MWC 2017で明暗が分かれた、両社の動向を比較してみよう。
Note7問題から脱却できるか、サムスン次の一手
ここ数年、MWCで最大の存在感を誇示してきたのがサムスンだ。スマホ市場で首位を独走するサムスンが何を発表するのか、報道関係者として見逃すわけにはいかない。筆者も、他の予定をキャンセルしてサムスンの行列に並んだことが何度もあるほどだ。
ところがMWC 2017では、フラグシップ機「Galaxy S」シリーズの発表を見送ることを早くから公言。発表会ではサムスンがいかに真剣に安全性に取り組んでいるかをアピールしたものの、新製品はタブレットのみ。イベント進行の手際も悪く、参加した報道陣からは不満の声が相次いだ。
背景には、2016年に世界を騒がせた「Galaxy Note7」の発火問題がある。世界各国に出荷した端末をようやく回収したのはいいが、今度はその再利用やリサイクルをめぐって環境保護団体「グリーンピース」から批判を浴びている。
MWCの会場でグリーンピースは大きく「活躍」した。会場外でのアピールにとどまらず、発表会のステージに登壇することにも成功。幸いにも大きな混乱は起きなかったが、もし暴力に訴える団体だったらと考えると恐ろしい。簡単に部外者の侵入を許してしまうサムスンの警備体制も批判を浴びた。
次に焦点となるのが、3月29日のニューヨークでのイベントだ。ここでは「Galaxy S8」とみられるフラグシップの新端末を発表するだけでなく、史上最大規模のプロモーションを開始すると予想されている。Note7の失敗を補って余りある、大きな巻き返しへの期待は大きい。