よくしゃべる6人

――撮影現場で何かエピソードはありますか?

本当にみなさんよくしゃべられるんですよね。年長の大杉さんがムードメーカーでもあるので、みんな話しやすくなっていると思います。田口トモロヲさんは、普段は現場であまりしゃべらないのに、この現場ではすごくしゃべっちゃうとおっしゃってました。

――ドラマでは、本人のキャラクターが生かされているところもあるし、ちょっと違う部分もあるんじゃないかと思いますが。

パブリックイメージの本人像をデフォルメしています。大杉さんはお調子者なところもあって、ご本人もそんなに遠くないと思ってるんじゃないかと。遠藤さん本人も心配性だと言ってますし、松重さんもあの6人の中では、自分が家事を仕切らないといけないキャラになるだろうと言っていました。

田口トモロヲさん本人は「自分だけは切り離された宇宙人キャラをふっきってやります」とおっしゃっていましたが、トモロヲさんって内に秘めた狂気をはらんでいるパブリックイメージありますよね?(笑) 光石さんはいつも優しくニコニコしているイメージ通りなんですけど、ご本人は「作中のようにすぐに色恋沙汰に走る人間ではない」と口を酸っぱくして主張しています(笑)。

一生懸命作っても「ゆるい」

――作品に流れる空気みたいなものも、一貫していると思うのですが、そういうものは、どう作られているんでしょうか。

この企画に関して6人の俳優のみなさんは、出演者でもあり作り手でもあると思います。6人で作る限りは、面白いものを作って他の役者仲間を嫉妬させたいという意気込みもあります。だから、「ここはこういう動きをした方がいいんじゃないか」とか「このセリフは説明しすぎじゃないか」とか、色々とご提案いただきましたね。

――見ていると、そういう全員の楽しそうな空気もあり、一人一人に焦点もあて、そしてミステリーの要素もあったりと、けっこう詰め込まれてますよね。

本人役にしては芝居場もあるし、衝突もするし、撮影のカット割りもけっこうあって、フェイクドキュメンタリーの要素よりも、ドラマとしての作りを強くしました。一方でトークもあり、アドリブもありで、欲張っているかもしれませんね(笑)。

――ただ、最近は、詰め込んだものが楽しみたいという声もありますしね。『シン・ゴジラ』のような。

まあ、企画意図においてはシンプルな方が良いと思っていますが、その方針の中で、視聴者に楽しんでもらうために色々な要素を詰め込んでいますね。でも、テレ東って一生懸命作っても「ゆるい」と言われるんですよね。相当、情報量の基準が低いんですかね(笑)。このドラマのキャッチコピーは「ゆるシブコメディ」でしたが、その割にゆるくない、けっこう詰め込んでいるなとは思っていました。

後編は3月10日(金)に掲載。「テレビを取り巻くムードが変わってきていると思いますか?」「正直、女子にうけたのは驚きましたか?」といったことお話を伺っていきます。

(C)バイプレイヤーズ製作委員会

<著者プロフィール>
西森路代
ライター。地方のOLを経て上京。派遣社員、編集プロダクション勤務を経てフリーに。香港、台湾、韓国、日本などアジアのエンターテイメントと、女性の生き方について執筆中。現在、TBS RADIO「文化系トーラジオLIFE」にも出演中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)、共著に『女子会2.0』(NHK出版)などがある。