東芝クライアントソリューションは2月24日、メディア関係者向けに、同社製PCの修理&サポート拠点を公開するプレスツアーを開催した。ユーザーからの評価が高い同社のサポート体制の現状についてレポートしよう。

PC事業専業の独立系子会社

東芝クライアントソリューションは、東芝の社内カンパニーであったパーソナル&クライアントソリューション社と、100%子会社だった東芝情報機器が合併して2016年4月に誕生した、PC/タブレットおよび法人向けIoTソリューション商品の開発・製造・販売を担当する会社だ。一言でいえば、東芝のPC部門がコンシューマ向け・法人向けを一本化して会社として独立したと考えればいい。

東芝PC工房はソフト99ビルの2Fにある。東京近県のdynabookユーザーならぜひ覚えておきたい

そんなわけで、本体の東芝は昨今、何かと経済ニュースを賑わせている状況だが、PC事業としては直接的な影響はなく、これからもPC事業に邁進(まいしん)していくとのことだった。この点はサポート体制や今後の新製品などが気になるユーザーにとっては朗報だろう。

東芝は1994年から秋葉原に修理サポートの対面窓口「東芝PC工房」を設置しており、現在は秋葉原と御徒町の境目にある末広町交差点そばのビル内で営業している。ここには1日平均50組前後が来店して修理相談などをしていくとのこと。プレスツアーでは、まずこの東芝PC工房にお邪魔した。

ここでは修理相談・受付や付属品の販売、購入相談などのほか、ユニークなサービスを用意。具体的には、予約制の「1Day・プレミアム・リペア・サービス」(事前予約で24時間以内に修理・返却するサービス、通常修理+3240円)、バッテリー交換できない機種のための「お急ぎバッテリー交換サービス」(バッテリー代含めて1万8,176円)、HDDからSSD/SSHDへ交換する「アップグレードサービス」(容量により3万4,128円~9万3,960円、ドライブ代込み)などが受けられる。

静かで落ち着いた店内。取材中にも開店直後だというのに、数組のユーザーが相談に訪れていた

また、HDDが故障した場合の「データ復旧サービス」では、論理故障だけでなく、HDDの深刻な物理故障にも対応できる。当然コストもかなりかかるが、データ復旧成功率は約94%と非常に高く、東芝製以外のドライブやメモリカードにも対応しているとのこと。こうした成功率の高さには、東芝自体にハードディスク事業があることも一つの強みとして作用しているようだ。なお、東芝PC工房は、実際に東日本大震災において津波の被害を受けたサーバー機からハードディスクを回収・修復して、ほとんどのデータを復旧させた実績を持つ。潮にまみれた被災機の実機も展示されている。

サーバー実機

岩手県・大槌町の町役場にあったサーバーは津波に流され、海水と泥でフレームまでボロボロに。しかし東芝と東芝情報機器の協力により、10日ほどでほとんどのデータを救出できたという。

パソコンのサポートにおいて、対面式の窓口というのはやはりユーザーにとって安心できる存在だ。以前と比べるとメーカー直営の窓口もずいぶん減ってしまったが、東芝PC工房のような取り組みはユーザーの安心できるPCライフ実現のために今後も継続してほしい。