部屋の明かりを少し暗くして、映画や音楽ライブの映像などを楽しむなら、明暗のコントラストや動画応答性能が高い有機ELの「X910シリーズ」は最高のパフォーマンスを発揮してくれるだろう。反対に、明るい昼間のリビングで地デジのテレビ番組を楽しむ際には、力強い明るさが出せる液晶の「Z810Xシリーズ」が真価を発揮する。それぞれに主に見るコンテンツや、テレビの置き場所を考えながら「有機ELと液晶、どちらを選ぶか」を吟味したいものだ。
さらに付け加えるなら、画質以外にも独自の機能やサービスを含めた「総合力」を見比べながら、いま買うべきテレビを選びたい。X910とZ810Xは、ともにデジタル放送6チャンネルをまとめて録画できる「タイムシフトマシン」機能や、地デジ6チャンネルの番組を1画面にサムネイルを並べながら表示できる「まるごとチャンネル」、キーワードを登録して好きなジャンルやタレントが出演しているテレビ番組、およびネット動画配信サービスをまとめて検索できる「みるコレ」など、快適なテレビ視聴のための機能が充実している。
フラッグシップクラスのテレビであれば「音」の再現力も重要な評価の分かれ目になる。REGZA「X910シリーズ」は新開発のスピーカーユニットをマルチアンプで駆動しながら、薄型テレビ単体で力強いサウンドを再現できるテレビだ。シリーズの音づくりを担当する桑原氏が太鼓判を押している。だがもし、映画や音楽ライブなどの映像をよりリッチなサウンドで楽しみたい場合は、東芝のテレビ用外付スピーカーである"REGZAサウンドシステム"「RSS-AZ55」や、一段とハイクラスな単体AVアンプ、スピーカーシステムを組み合わせて本格的なホームシアターに発展してみても面白い。
今年、国内テレビメーカーの4K有機ELテレビが出そろえば、市場はさらに活気付くだろう。石橋氏は、これまで国内の有機ELテレビ市場はLGエレクトロニクスが単独で支えてきたが、これにREGZAが続くことで盛り上げていきたいと意気込みを語っている。有機ELと液晶は、やがてどちらかの技術に一本化されるのではなく、互いが共存しながら進化を続けていけば、テレビ市場がますます面白くなるのではないだろうか。