鼻炎などによる鼻水や鼻づまりは口呼吸を招く恐れがある

虫歯歯周病につながったり、感染症になりやすくなったりする恐れがある口呼吸。無意識でしている呼吸だからこそ、一度体にしみついてしまうと正常な鼻呼吸へと正すのは難しいかもしれない。

ただ、鼻や口周りの筋肉、歯の並び方などに問題があり、その結果として口呼吸になってしまっているケースもある。その場合、専用の用具を用いたり、治療を行ったりすることで鼻呼吸へと矯正する必要がある。

本稿ではM.I.H.O.矯正歯科クリニックの今村美穂医師の解説をもとに「口呼吸の治し方」を紹介していこう。

原因別の口呼吸矯正方法

そもそも、普通は鼻でするはずの呼吸をなぜ口でするようになるのだろうか。理由は複数あるが、最も多い口呼吸の原因として、今村医師は「前歯の突出(出っ歯)とそれに伴う口唇閉鎖不全および慢性鼻炎」をあげる。

いずれもきちんとしたケアをすれば現状を改善できる可能性があるため、一つひとつの対処法を記していく。

鼻トラブル

鼻炎などで慢性的に鼻が詰まっていると、空気の通り道がブロックされるため、満足な鼻呼吸ができなくなる。そうなれば当然、足りない分の呼吸は口で行うことになる。鼻水や鼻づまりが考えられる疾患としては慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎があり、後者の場合は特異的IgE抗体検査やパッチテストを用いてアレルギーを特定する。これらの疾病は耳鼻科での治療が必要となる。

口唇閉鎖不全

歯並びが悪かったり前歯が出っぱっていたりすると、うまく口が閉じない(口唇閉鎖不全)。意識すれば口を閉じることはできるかもしれないが、楽な自然体の状態では口が開いてしまう。そのため、無意識のうちに口で呼吸をするようになる。このような場合は、歯並びを改善するために矯正治療やマウスピースなどの補助器具を用いる場合もある。

「マウスピースの装用時間や使用方法に関しては、歯科医師の指示に従っていただく必要があります。ご自身の判断で誤った使用をされてしまうと、歯列やかみ合わせが変化してしまう恐れがあるためです。歯科医師は顔貌(がんぼう)や骨格性の特徴に応じ指示を出してくれるので、生活の中でどのように使用すればベストなのかをサポートしてくれると思います」