ファーウェイ躍進の理由
日本で成功した要因はどこにあったのか。その要因について、ファーウェイ・ジャパンの呉波代表は「ミドル・ハイエンドスマートフォン」というキーワードを挙げる。SIMフリースマホは、1万円~2万円程度までの低価格、スペックは控えめだがそこそこ使えるモデルが多い。しかし、ファーウェイは「ミドル・ハイエンド」という位置で勝負してきた。
P9、Mate 9の機能は比較的高く、その分、市場想定価格も高い(P9が税別50,800円、Mate 9が同60,800円)が、ライカと共同開発したデュアルレンズを搭載するなど、他社製品と明確に異なるメッセージ性も備えている。P9の廉価モデルとなるP9 liteは税別25,800円と手が出しやすく、ネットではコストパフォーマンスに優れたコスパスマホとして人気を得ているようだ。このあたりの価格の商品群がミドル・ハイエンドという位置づけになるだろう。
成功の要因はこれだけではない。興味深いのは、ファーウェイが各種ランキング上位に顔を出すまで、テレビコマーシャルをはじめとした大型広告に頼らずにきたことだ。力を入れてきたのはNPS(Net Promoter Score)である。
NPSとは企業ブランドに対する愛着や信頼感を指数化したもの。ファーウェイではこの指数の向上を最重要課題と捉えている。呉氏は「一番大事なのは、ファーウェイ端末を買った人を絶対に満足させること。購入端末を使いやすいと思ったとき、買った人が周囲に勧めてくれる。こうしたブランド戦略は時間がかかるが、一番、着実だと思う」とかつて語っている。その考えは変わらず、今回の発表会でも引き合いに出し「日本市場におけるNPSは非常に満足している」(同氏)と話す。