クリエイターの反応は上々。創作表現の手札の1枚に
――これまで「CG-i」をお披露目してきたなかで、一般のお客さん(非クリエイター)のリアクション、クリエイターのリアクション、それぞれで印象に残ったものをお伝えください。
お客さまには、まずRGBとCMYKの違いを知ってもらう事からだったので、反応をうかがうのが難しかったです。"奇麗なポスター"として見ているのか"「CG-i」という新しい技術"として見ていただいているのかをうかがったところ、まだまだ前者のリアクションが多かったですね。
クリエイターさまのリアクションは顕著でした。青や紫、ピンクなど今まで取り組んできた印刷出力では出せていなかった色域に大変喜んでおられました。
――クリエイターがデジタルで思い描いたイラストの色合いを詳しく知ることができるというのは、お客さまにとっても新たな視覚体験になるでしょうし、クリエイターの抱いている世界観がより広く共有されることになると思います。商品への活用はもちろん、「CG-i」技術が広く普及した際の理想像といったものはございますか。
まずはCMYKとRGBの違いをお伝えすることで、新しい価値観をご提供できればと考えています。その上で、お客さまにはモニターで見るよりも美しい出力として「CG-i」を鑑賞いただけるとうれしいです。近い将来、「このCGイラストを『CG-i』で見てみたいね」「あのクリエイターに『CG-i』でイラストを描いてほしい」と言っていただけるのが理想です。クリエイターさまにはご自身の創作表現における手札の1枚として、「CG-i」にご期待いただけるとありがたいです。
印刷業界においては現状、「CG-i」はCG出力のハイエンドとして展開しているので、今後もそれぞれの役割に応じてふさわしい出力形態が必要とされると考えています。
――この色合いはぜひ「CG-i」で表現したいという作品を挙げるなら、どのようなものになるでしょうか。
多彩な色使いが施されたイラストはぜひ、出力させていただきたいです。どの色の影響も受けず、それぞれが奇麗に発色することは、当たり前のようで難しく、再現できればとても奇麗です。
あとはCGイラストで質感や奥行きを再現しようとして制作されたイラストです。「CG-i」は質感の再現と共に奥行きを感じる効果を備えています。モニターの中でこそ表現できる、無限の空間に描かれたイラストの可能性にお応えできると思います。
鑑賞できる場を増やし、「CG-i」の可能性を感じてもらいたい
――2016年11月末から12月初旬にかけて、9月の発表会に足を運べなかった方にも届くよう、神保町で展示会が行われていました。2017年もこのような展示の機会は増えていくのでしょうか。
「CG-i」は実物を鑑賞いただくのが1番なので、その場は積極的に増やしていきます。ネットで何でも見る事ができる時代に逆行したコンセプトになってしまっているのは申し訳ないと思っています。
告知は「CG-i」のウェブサイトとFacebookで行いますのでご覧ください。
――あらためて、「CG-i」に秘められた可能性をアピールしていただけますでしょうか。
「この技術があればこんなイラストを描いてみたい!」という取り組みが可能性に通じると考えています。まだ「CG-i」専用に描いていただいたCGイラストが存在しないので、そこに踏み込んでいただいたクリエイターさまのテクニックと想像力が、今後の「CG-i」の可能性につながっていくのかなと。
そして、それを鑑賞されるお客さまが得る新しい感覚と驚きも、「CG-i」に秘められた可能性になると思っています。
バンプレストの小さな開発チームから生まれた新技術が、クリエイターにとっての福音となる日も近そうだ。
そして、この「CG-i」により出力、額装された『劇場版 ソードアート・オンライン-オーディナル・スケール-』(公開中)のキービジュアル2作品「第1弾キービジュアル Illustrated by abec」と「アニメ第4弾キービジュアル Illustrated by 足立慎吾 A-1 Pictures」(各64,800円/税込/送料別途2,160円)の受注が、2月25日10時からウェブサイト・一番工房にてスタートする。受注地域は日本国内のみで、各300枚の数量限定となっている。
「第1弾キービジュアル Illustrated by abec」は、透明感のある美しい青を背景に、キリトとアスナが新しいゲーム"オーディナル・スケール"をプレイするときのAR(拡張現実)型情報端末"オーグマー"を身に着けている状態で描かれている。額装は、2018年に創業130年を迎える老舗画材店・文房堂のフレームマイスターによるフルプロデュース。シリアルナンバーも入っている。
もう一方の「アニメ第4弾キービジュアル Illustrated by 足立慎吾 A-1 Pictures」は、劇場公開の直前となる1月13日に発表となったイラスト。東京の街と共に大きく描かれたアスナを背景に、中央には全身で前を見据えたキリトが歩み出す構図となっており、コントラストで表現された東京の街並みの色合いなどから、劇場作品を観終わって初めてこのイラストに込められたコンセプトが分かるとも言われている。こちらも文房堂のフレームマイスターがプロデュースしており、シリアルナンバーも入っている。
こちら2作品の受注開始は2017年2月25日10時からで、同年3月26日23時59分に受付を終了。商品は、同年5月中旬より順次発送予定となっている。詳細は、「CG-i」もしくは一番工房のウェブサイトを参照していただきたい。
■プロフィール
鷹尾充輝(たかおみつてる)
1973年12月21日、九州出身。ホビーメーカーに15年勤務し、メカ、美少女フィギュア、ドールとジャンルを問わず多くのアイテムの企画、製品化を手掛ける。その後、バンプレストに入社し、一番くじプレミアムの開発チームに所属。フィギュア以外にも画集やクリエイター描きおろしのポスター、ドラマCDなど斬新なアイテムをくじに取り入れる。現在は同社グローバルディビジョンに所属し、海外向けアイテム開発の傍らCG-iの企画、開発、ディレクションを行っている。
(C)2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project