ユーザーの発見から生まれた「美脚ガイド」
美脚ガイドは、先述の「脚が長く見える自分撮り」をアシストする機能。撮影時、画面に表示される指定範囲に「頭の位置」と「脚の位置」をそれぞれ合わせてシャッターを切ることで、スマートで見栄えのするセルフィー写真を誰でも簡単に撮ることができる。松原氏いわく「このために、開発スタッフはFR100で何千枚も『脚長撮り』をして研究した」とのこと。なお、美脚ガイドでは「立ち姿」か「座り姿」を選択できる。
研究の結果、カメラは地面からの高さ、被写体からの距離ともに100cm程度、角度はおよそ90°(正面向き)で撮るのがいいことがわかったそうだ。
FR100Lには、自撮り写真をいっそう印象的に演出する「メイクアップビビッド」と「メイクアップHDR」を搭載。スマホに転送してからのフィルター加工の手間を不要にした。
松原氏「それだけでなく、これらの機能のポイントは『人物以外』をビビッドにしたり、HDRアート処理を適用するところです。人物の肌はメイクアップ機能で美しく表現しながら、それ以外を印象的にする。撮影した写真をフィルター加工すると、人物の顔や肌まで彩度が強調されてしまったり、陰影が強くなったりしてしまいます。FR100Lなら、それがないのです」
実は、FR100で撮影した後にスマホアプリでフィルター加工した写真には、人物が後ろ向きだったり、顔が小さく写ったりしたものが多いという。それは、この「顔がフィルターの影響を受ける」ことが原因と、松原氏は分析する。
実際にメイクアップビビッドを使用して撮影。肌をキレイに表現しながら、それ以外をビビッドにして、ポップでキャッチーな写真に |
実際にメイクアップHDRを使用して撮影。肌をキレイに表現しながら、それ以外をHDRアートに。アート風な背景ながら、人物はあくまで自然だ |
質疑応答では、記者から「今どきの若い女性がピンクのボディカラーを好むというのは男性の先入観ではないか」「女性向けに新商品を開発するなら、既存機種の流用でなく、完全な新製品とするべきではないか」といった声もあった。
ボディカラーについては「もちろん、その他のカラーも検討はした。しかしながら、マーケティング実績としてピンクは他色に比べて大きな販売成果があり、それはやはり無視できない」(カシオ計算機 営業本部 重岡正之氏)と、実績を考慮しての判断と説明。
また、完全新機種としなかった理由については「社内でも討論はあったが、実際、海外を中心に、すでにFR100を持つことが一種のステータスや憧れ、カッコイイという認識になっている。現在はそのイメージを大切にしたいという思いがある」(カシオ計算機 コンシューマ開発本部 中山仁氏)と述べた。
専用オプションの予定はあるかとの質問に対しては「専用カラーの三脚を考えている」(中山氏)とのこと。ちなみにFR100Lの「L」は、「Lady's(もしくはLadies)」の意をイメージしており(ただし非公式)、開発に際して社内ではFR100レディースと呼ばれていたという。