ATOKの強み、電子辞書・辞典
ATOKシリーズを愛用する利用者の多くが、理由の1つとしてATOK連携電子辞典の存在を挙げる。「ATOK 2017 for Windows プレミアム」では、「岩波国語辞典 第七版 新版(約6万5,000項目)」「明鏡ことわざ成句使い方辞典(ことわざ約2,300項目、例文約1万項目)」「大修館四字熟語辞典(約2,650項目)」「ジーニアス英和辞典第5版(約10万5,000項目)」「ジーニアス和英辞典第3版(約8万3,000項目)」と、5つの電子辞典を利用可能だ。
気になるのは岩波国辞典の見出し語収録数である。上記のとおり約6万5,000項目を収録しているが、ATOK 2016 for Windowsに収録された「精選版日本国語大辞典」は約30万項目。単純な項目数で比較すると見劣りしてしまう。ATOKシリーズを使っているユーザーは、電子辞典を目的に購入している場合も少なくない。
今回の岩波国語辞典も以前の精選版日本国語大辞典も単独販売していないため、ATOK上で電子辞典を利用するには、各ATOKのプレミアム版を購入する必要がある。その点において、今回の国語辞典は魅力が減った気がするのだが、いかがだろうか。なお、以前のATOKと電子辞書・辞典がインストール済み環境にATOK 2017を導入すると、電子辞書・辞典は自動的に引き継がれる。一連の電子辞書・辞典に対する互換性は、こちらのWebページで確認できる。
さて、全体を見据えたATOK 2017の総論だが、筆者は順当なマイナーバージョンアップという感想を持つ。ATOKディープコアエンジンによる変換の最適化は劇的な変化とは感じられず(見えない部分で相当に良くなっているのかもしれないが)、各機能においては、かゆいところに手が届く改善が多い。
ATOK 2016ユーザーがATOK 2017に更新すべきか、と問われると、手放しではおすすめできないところがある。相変わらず設定ダイアログは煩雑であり、バージョンアップ時に一部の設定がリセットされるなど、改善されない点も多かった。ただ、UWPアプリケーションでの制限緩和やパフォーマンス的な改善を踏まえると、ATOK 2016に留まるメリットは少ないだろう。
阿久津良和(Cactus)