以上が画像を用いた検査方法だが、このほかに患者の細胞や血液を用いる検査もある。併せて紹介しよう。
■脳脊髄液細胞診
脳脊髄液を採取し、がん細胞が確認できるか否かを調べる検査。腰椎くも膜下腔より針で穿刺し、脳脊髄液の一部を採取する「腰椎穿刺(せんし)」という検査が行われるが、実施にあたっては注意が必要。
脳腫瘍などの脳を圧迫するような病気があって、脳内の圧力が非常に高まっているときに腰椎穿刺で腰から脳脊髄液を抽出すると、脳ヘルニア(脳嵌頓<のうかんとん>)を誘発する。高まっていた頭蓋内圧は開いた穴へと逃げ場を見つけ、そのときに発生する圧力のエネルギーによって脳組織の一部が正常な位置からはみだしてしまう。
場合によっては命に関わるため、腰椎穿刺実施前には頭部CTなどの画像検査をあらかじめ行い頭蓋内圧に留意する必要がある。
■血液検査
脳リンパ腫には特異的な腫瘍マーカー(正常細胞には見られず、悪性腫瘍から特異性をもって産生される物質)があるため、血液検査でその腫瘍マーカーの数値を見ることもある。
脳リンパ腫の診断確定には病理検査が必須
そして最後は病理検査だ。福島医師は「画像だけで判断すると見誤ることがあるため、腫瘍の診断は病理診断が鉄則です」と話す。
脳リンパ腫かどうかを確定させるには、これまでに紹介した検査を踏まえたうえで、人体から採取された細胞組織を特殊な顕微鏡で検査する。この手順を踏まえ、最終的な診断を下すのが基本となる。ただ、脳リンパ腫は脳深部に発生することが多いため、病理検査にはしばしば定位的脳腫瘍生検術が用いられる。
■定位的脳腫瘍生検
頭蓋骨に開けた小さな穴から針を刺し、組織の一部を採取する検査法。侵襲性が低く、頭皮の傷も小さくてすむ。