手塚治虫の暮らしたアパートの後は古民家カフェへ
「並木ハウス」の2階の6畳間が手塚氏の部屋で、現在も賃貸住宅として利用されている。ここには、「手塚先生にあやかりたい」という芸術家の卵が入居することが多いという。外観の撮影はOKとのことだが、人の住まいである。迷惑にならないよう見学しよう。
並木ハウスへ行くには、並木通りの「雑司が谷案内処」を目印にするといい。実は、この案内処も築昭和8(1933)年という注目スポットである。案内のパンフレットが置いてあるだけでなく、古めかしい「すごろく」や民芸品などが並べられている。
2階のギャラリーには、手塚治虫氏が描いた当時のアパートのイラストが展示されている。6畳間にピアノやベッドがあり、「遊びに来たら手伝わされてしまった」という藤子不二雄A氏や、当時かけだしだった石ノ森章太郎氏、赤塚不二夫氏の姿も描かれている。
この通りには、古民家カフェ「キアズマ珈琲」などもある。どこに行きたいか迷ったら、案内処のスタッフさんにこの周辺の情報や歴史を聞いてみるのも面白い。ていねいに教えてくれるだろう。
1度で3度おいしい「子宝たいやき」
食べ歩きの定番と言えばたい焼きだが、そろそろ普通レベルから脱してみたい、というところで発見したのが「ひなの郷」の「子宝たいやき」(170円)である。たい焼きの中にはあんこのみならず、豆乳クリームと白玉がひとつ入っている。白玉を探しつつ食べてみるのが楽しい。そのほか、エビチリなどが入った変わり種のたい焼きもあるため、チャレンジしてみてはいかがだろう。
ふんわりクリームといちご生地で幸せ~
「食べ歩きのメロンパンのいい香りがふわ~っと漂ってくるんです」という案内処スタッフさんの話を聞き、メロンパン店を探してみた。鬼子母神駅のそばに"おいしいメロンパンの店"と自ら掲げているお店を発見。「アルテリア・ベーカリー」だ。
プレーンやホイップ入りなど、どれにしようか迷うところだが、「ホイップは冬季限定」という店員さんの話に惹かれて「いちごホイップメロンパン」(290円)を選んだ。いちご生地のメロンパンにホイップが挟んであり、甘酸っぱい香りがたまらない。ちなみに「いちご」という部分も冬季限定である。夏場はホイップではなくアイスクリームが挟まれるという。「それも見逃せないな」と思ってしまった
雑司が谷・鬼子母神堂付近は「食べ歩きの宝庫! 」という訳ではなかったが、静かでのんびりした町だった。池袋から数分で楽しめる、プチ・タイムスリップな旅をしてみてはいかがだろうか。
※価格は全て税込
筆者プロフィール: 木口 マリ
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。