地平線までの絶景、夜の空中散歩も

筑波山は冬も登山はできるが、そのためにはしっかり登山の準備は整えておきたい。「筑波山ケーブルカー&ロープウェイ」のサイトでは、登山コースの紹介や登山準備の情報も発信しているので、特に登山初心者は事前に確認しておいた方がいいだろう。

「つくば駅」周辺(2016年9月9日撮影)

筑波山の登山口である「つくば」駅までは、「つくばエクスプレス(TX)」の快速を使えば、秋葉原駅からわずか45分ほど。さらに、つくば駅から筑波山方面へ向かうには、シャトルバスを利用するのが便利だ。

筑波山は標高877mと百名山の中では最も標高が低く、ケーブルカーとロープウェイも整備されており、手軽に登ることができる。手軽に登山できるにも関わらず、周囲を平野に囲まれているため、地平線まで見渡せる第一級の絶景を楽しめるのが最大の魅力だ。

筑波山ロープウェイ(2016年9月9日撮影)

もちろん、麓から頂上まで歩いて登ることもできる。しかし、ケーブルカーやロープウェイの駅から、筑波山の2つの頂上である「男体山(871m)」と「女体山(877m)」を巡るのにも、意外と時間がかかる。今回はケーブルカーを使って登ることにした。

ケーブルの駅から男体山山頂までが約300m、女体山山頂までは600mほどだ。まずは、男体山へ向かおう。登山道は岩場もあり、石の表面が滑りやすい場所もあるので、ゴム底の滑りにくい運動靴などが必須だ。

男体山への登山道の岩場(2016年9月9日撮影)

男体山山頂には小さな社(やしろ)と昭和3(1928)年に建てられたという古い気象観測所の建物があるのみで、それほどの景色は望めない。

地球の"丸さ"までも実感

続いて、女体山に向かおう。途中には、江戸時代に永井兵助という人物がこの場所で筑波山名物の「ガマの油売り口上」を考案したとされる、ガマガエルの頭部にそっくりな「ガマ石」がある。ガマ石から5分ほどで、女体山山頂に到着する。山頂の岩場には、柵や手すりのようなものは設置されておらず、自然に近い状態になっている。

ガマ石。小石を投げてガマの口に入ると願いが叶うとされ、口にはたくさんの小石がたまっている(2016年9月9日撮影)

筑波山(女体山)頂上からの眺め(2016年9月9日撮影)

実際はケーブルカーで登ったにも関わらず、地球の"丸さ"までも実感できるはるかなる眺望を目にすると、「やっぱり、登山はいいな」という気持ちになる。なお、秋から冬にかけての筑波山にはもうひとつの楽しみ方がある。筑波山ロープウェイは、土日祝限定で、「スターダストクルージング★~夜の空中散歩~」という夜間運行を実施しているのだ。

昼間、袋田の滝や竜神大吊橋などを訪れ、夜は雄大な夜景に包まれた空中散歩を楽しむというプランもオススメだ。

●information
スターダストクルージング★~夜の空中散歩~
営業日: 2016年~2017年は9月17日~2月26日までの土日祝日
営業時間: 17:00~21:00
運賃: 1,000円(往復)

ランチには新登場のご当地バーガーを

茨城のグルメと言えば、常陸牛や大洗などの海の幸、水戸の納豆などがすぐに思い浮かぶが、今回の旅でいただいたのは、素材を茨城県産にこだわった新登場のご当地バーガー「かわまるバーガー」だ。那珂インターから袋田の滝に向かう途中にある、2016年3月にオープンしたばかりの道の駅「常陸大宮~かわプラザ~」で食べることができる。

このバーガーは、茨城県産の強力粉を使った手作りパンに、地元産野菜、大宮瑞穂牛の肉を材料に使っている。種類はハンバーガーとメンチカツバーガーの2種類があり、ポテトと野菜スープ付きのセットがいずれも税込780円。筆者はどちらかというと、よりジューシーさを楽しめるメンチカツバーガーの方が好みと感じた。

ご当地バーガー「かわまるバーガー」(セットで税込780円)

さて、今回紹介したほかに、常磐自動車道沿いの観光名所なら、水戸の「偕楽園」や、笠間市の「笠間稲荷神社」、そして、稀勢の里の故郷である牛久市には日本一の高さを誇る大仏「牛久大仏」もある。電車やバスなどの公共交通機関だと本数が少なく、動き回るのに難のあるエリアだが、ドライブならわずか1日でもかなりの範囲を巡ることができる。今度の週末のドライブ旅行にいかがだろうか。

筆者プロフィール: 森川 孝郎(もりかわ たかお)

旅行コラムニスト、オールアバウト公式国内旅行ガイド。京都・奈良・鎌倉など歴史ある街を中心に取材・撮影を行い、「楽しいだけではなく上質な旅の情報」をメディアにて発信。観光庁が中心となって行っている外国人旅行者の訪日促進活動「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の公式サイトにも寄稿している。鎌倉の観光情報は、自身で運営する「鎌倉紀行」で更新。