日本車の中堅メーカーでこのところ、独自の勢いを示しているのが富士重工業(スバル)とマツダだ。

米国で絶好調のスバルは現地生産増強

2017年4月には社名とブランドが共通になるスバルは、米国ブランド戦略と新型インプレッサに代表される商品戦略の強化が奏功し、米国市場で「タマ不足で現地のスバルディーラーから怒られている」(吉永泰之社長)ほどの売れ行きを示している。スバルの米国販売は、他のメーカーがインセンティブを積み増しする中で、高い利益率をキープしている。

こうした中、2016年11月からは米国インディアナ工場で生産増強に乗り出し、現地での好調販売に対応する増産を進めている。トランプ政権でも当面の間は、現地工場の増強により、懸念材料がなく好調販売を継続していく格好である。

北米仕様の新型インプレッサ(画像は富士重工業より)

メキシコ生産のみが気がかりなマツダ

一方のマツダも、独自のクルマづくりを進化させて復活してきた面ではスバルと似たものがある。北米戦略では元々、かつての資本提携先であるフォードと合弁生産(デトロイト郊外のフラットロック工場)を行っていたが、フォードとの提携解消を受けていったんは現地生産から撤退。その後はトヨタとの包括業務提携を足がかりとし、トヨタブランドへのOEM(相手先ブランド生産)供給を含めたメキシコ生産に乗り出して、NAFTAを活用して米国市場に供給してきた。

マツダの場合、メキシコ工場と日本からの米国向け輸出ということで、トランプ政権のNAFTAの見直し交渉いかんが、最も気にかかることになるというわけである。この他、三菱自動車は2015年11月に米国イリノイ工場生産から撤退している。

いずれにせよ、日本車にとって米国市場は、グローバル戦略の中で収益面も含めた重要拠点であることに変わりはない。米国市場が1,700万台レベルの高水準をキープする中で、さらに意欲的な戦略を進めていくことになるだろう。ただ、トランプ新政権の動向がプラスとなるか、マイナスに影響するかが大きな関心事である。