設定もシンプルで簡単

今回、市販より一足先に「ヴォワラ!」の実機を入手することができたので、早速使い勝手をレビューしよう。ヴォワラ!はUSBメモリ様の形状をしたデバイスで、キーホルダーなどの用途が想定されているという。実際、5mm角程度の穴が空いているのだが、ここに通すキーリングなどが付属していないので、カギをつけるなら自分でキーリングやストラップなどを調達する必要がある。

本体が入っている箱は、蓋に磁石が仕込まれており、開閉時の感覚がとても気持ちいい。こうした細かい演出は実にフランス製らしい

筆者が自分で調達したリングチェーンやストラップで自宅やクルマのカギを付けてみた。あまり硬い素材だとWistikiに傷が付きそうな気もする

セッティングはApp Store、またはGoogle Play Storeから「Wistiki」アプリをダウンロードして行う。今回はiPhoneアプリでのセッティングを紹介するが、基本的な流れはAndroidでも同様だ。

最初にアカウントを作成する必要がある。アカウント作成後、本体のスイッチを長押しし、接続モードにしてからスマートフォン本体に近づけることでリンクが行われる。Bluetoothは接続が面倒なイメージがあるが、一覧から選ぶ必要もなく、簡単なのは嬉しい。最初に接続後、ファームウェアのアップデートが行われるが、1分程度なので待っていよう。最後にWistikiを識別するための名前やアイコンを設定して完了だ。なお、前述したユーザー間で相互に探し合う機能を使うには、Bluetoothを常時利用できるようにしておく必要がある

設定が完了したら、スマートフォン側のアプリを起動して鳴らしたいWistikiを選び、ボタンをタップすると独特なメロディがWistiki側から再生される。続いて、逆にWistiki側のボタンを長押しすると、スマートフォンがスリープ中であってもスマートフォン側からメロディが再生される。Wistiki→スマートフォンはたまにうまく行かないこともあったが、何度か繰り返していれば鳴動した。

右側のベルのボタンをタップするとメロディがなる。メロディは最大92dBで、洗濯物の下敷きになっていても気がつく大きさの音だが、ペットに付けていた場合、驚いてしまわないのか心配だ

今回は(まだ発売前で日本にほとんど所有者がいないこともあって)ほかのユーザーからWistikiを探す機能を試せなかったのだが、これはきちんと機能すれば大変便利な機能だろう。個人的にはこうした機能は業界で共通プロトコルとして確立させ、スマートフォン本体も含めてみんなで探しやすい世の中になれば、と思う。

我が家は非常にものが散乱しており、住人は全員ズボラなので、しばしばものが見つからなくなる。特に家の鍵や自動車のカギ、またiPhoneはしばしばどこかに紛れて隠れてしまう。これまでiPhoneは「iPhoneを探す」機能で探せていたが、カギ類はそうも行かずに困っていた。しかしWistikiがあれば、探し物で出発前にやきもきする必要もなくなる。

同様のスマートタグ製品で比較すると、現在最も人気が高いと思われる「Qrio Smart Tag」が3,980円、その他の製品もAmazonで1,000~2,000円台半ばくらいで購入できる。Wistikiは基本的な機能はQrioとほぼ同等なので、後発にも関わらず2,000円も高価なWistikiは厳しいように見える。ただし電池交換できない代わりに完全防水であることは、扱いに気を使わずに済むという点で有利だ。電池寿命についても2年間というのは、半年~1年の製品が多い中、頭一つ抜けた感がある。デザインについては好みがあるが、巨匠・スタルクのデザインに惹かれる人は多いのではないだろうか。設定用アプリもデザインに優れており、誰でも簡単に使い方がわかりやすいという点で高く評価できる。概ね価格差を正当化できるほどの魅力があると言っていいだろう。

個人的には数台をまとめて運用したいので、3~5台で割安になるセット販売も検討してもらいたいところだ。また、非常に細かいことではあるが、ヴォワラ!では透明部分と銀色の部分の間に微妙な段差を感じる。ここがiPhoneなどのように面一な状態になっていれば、さらに高いクオリティを感じることができるだろう。そこまでの高い精度を求めるような値段の製品ではないかもしれないが、頑張って実現してほしい。