美貴本は、フランスWistiki(ウィスティキ)社が開発したスマートアクセサリー「Wistiki by Starck "ヴォワラ!"」を2月1日より販売開始する。スマートフォンと連動させることで、つないだものを見つけやすくすることができる。
デザインにこだわったメイドインフランスのIoT
「Wistiki by Starck」(以下Wistiki)は、仏Wistiki社が開発したスマートタグの一種だ。2013年にフランスでクラウドファンディングにより資金を調達し、2014年からフランス国内で販売を開始。市場の約9割という巨大なシェアを占めている。2016年からはアメリカで販売を開始しており、すでに総計20万台を販売。日本でもクラウドファンディングの「モーションギャラリー」で4,000万円を調達しての登場となる。
Wistikiを開発したLussato(リュサト)3兄弟。ちなみに「Wistiki」とは、兄弟が飼っていた猫の名前だという。元々はペットを探すためのタグとして開発していたが、想像以上にカギなどを探すのに使いたいという声が大きかったという |
WistikiをスマートフォンとBluetooth 4.0 LEで接続することで、設定した距離範囲から離れたり、スマートフォン側から操作したときにタグ側から音を発することができる。また、逆にタグ側を操作することでスマートフォンから音を鳴らすことも可能だ。カギなど失くしやすいものにつけておくことで、見つけにくいものを探したり、置き忘れを防止することができる。
タグには今回発売される直方体の「voila!(ヴォワラ!)」のほか、メダル状の「aha!(アッハ!)」(発売は3月24日予定)、カード状の「hopla!(ホープラ!)」(発売日未定)の3種類がある。いずれもデザインはフランスが誇る世界的クリエイターのフィリップ・スタルク氏によるもので、本体は香水のボトルをイメージしたデザインとなっている。価格は「ヴォワラ!」、「アッハ!」ともに5,980円(税別)。
WIstikiにはスマートフォン用アプリ(iOS 8/Android 4.2.2以上に対応)を使ってリンクする。1台のスマートフォンに最大10台までのWistikiを登録できるほか、1つのWistikiを複数のユーザー間で共有することもできる。家のカギなど家族で探したいものは共有に、定期などプライベートなものは非共有に、と使い分けることもできる。
電波が届く範囲内にない場合でも、スマートフォンとWistikiの間では定期的に通信が行われており、最後にリンクが確認できた場所の位置情報をマップ上で確認できる。さらにユニークなのは、Wistikiアプリをインストールしている別人のスマートフォンが近くを通った場合、匿名のWistikiデバイスとしてその位置情報がクラウドにアップロードできる点。つまり、WistikiユーザーはそれぞれがWistikiネットワーク全体のアンテナを兼ねており、これでWistikiユーザー全体の発見率を高めているわけだ。
Wistiki本体は電池(CR2032)で動作するが、電池は交換不可能な作りになっており、基本的には電池寿命(およそ2年)での使い捨てとなる。販売元の美貴本によれば、電池交換については今後検討したいということだった。電池交換ができないかわりに完全防水を実現しており、ペットなどに付けておいても丸ごと洗うことができる。
昨今、フランス発のIoT製品が非常に活発だ。個人向けドローンの嚆矢であるParrot社を始め、スマートヘルスケアデバイスのWithingsやホームセンサーデバイスのNetatmoなど、世界的に名を知られるメーカーが続々と登場している。実はフランスでは数年前から国策としてITスタートアップを支援する体制ができあがっており、若い才能を国や経済界が強くバックアップしている。フランスならではのセンスやデザインのIoT製品を中国で製造するという流れも確立しているのだが、Wistikiはメイドインフランスを強く前面に押し出しており、フランスを代表するデザイナーであるスタルク氏の採用だけでなく、製造もすべてフランス国内で行なっている。素材にはラグジュアリーブランドで使われているメーカーを採用するなど、単なるスマートタグではなく「スマートアクセサリー」と称するにふさわしい、細部にわたってこだわりが感じられる仕上がりとなっている。