イベントの前半ではMMD研究所の吉本浩司氏が登壇し、同社の調査結果をもとに2016年の格安SIM市場を振り返った。それによれば、2016年におけるフィーチャーフォンとスマートフォンの割合は35.1%対64.9%で、スマホ利用者の比率は対前年比で2.4%しか伸びなかった。2012年頃にはフィーチャーフォンからスマホへの移行が進んだが、ここ1~2年はその動きも鈍化しつつある。
8割強が「格安SIMサービス」を認識
年代別では15歳~19歳の約9割がスマホを利用。中でも女子高生に限ると、実に95%がiPhoneを利用しているという。年代が上がるにつれてスマホの利用率は下がるが、50歳~59歳でもフィーチャーフォン46.7%に対してスマートフォン53.3%とスマホ利用者が多かった。一方で60歳以上では、フィーチャーフォン63.1%に対してスマートフォン36.9%と逆転する。
認知調査では、回答者の83.3%が格安SIMの存在を認知しており、51.2%がどの会社がどんなサービスを展開しているかを認知していた。「格安SIMサービスのテレビCMなどが盛んになった結果ではないか」と吉本氏。なおインターネット調査の結果ということで、比較的ITリテラシーの高い層が回答しているという事情も影響しているとのこと。格安SIMサービスの利用を検討している人の割合は22.6%で、今回の調査で初めて2割を超えた。
トップシェアは「楽天モバイル」、全体の2割超
メインの携帯電話として格安SIMサービスを利用している人のうち、最も利用されていたサービスは「楽天モバイル」で、シェアは全体の20.7%にも上った。2位は「OCNモバイルONE」(13.5%)で、3位は「IIJmio」(9.2%)、4位は「mineo」(8.9%)。なお、ワイモバイルはMVNO事業者ではないためランキングには登場していない。
格安SIMサービスの利用者層を調べた結果、ボリュームゾーンは男女ともに40代だった。格安SIMサービスの認知度が上がったことで、最近では女性の利用者も増えた。その割合は現在、男性62.2%に対して女性37.8%となっているようだ。
MVNO市場は堅調に拡大を続けており、2017年はメイン利用での契約増や、3キャリアからのMNPの増加が見込まれている。
今回、MMD研究所が発表したランキングでは存在感を発揮できなかった「LINE mobile」「UQ mobile」といった新興勢力が、今後どこまで成長するか。一方で、市場ではすでにMVNO事業者の淘汰が始まりつつあるとの見方もある。競争の激化が予想される2017年のモバイル市場に引き続き注目したい。