「熱い男・松田凌」
――今回の作品について、ファンの方の「これで2.5次元舞台の世界が変わるかもしれない」という反応を見たりもしたのですが、いかがですか?
深澤:役者たちもそう思って頑張ってくれています。彼ら自身が「自分のキャリアを変えてやるんだ」「今後の人生を変えてやるんだ」という強い思いがあるので、お客さんに伝わっていくといいなと。撮影中もそういった気持ちを感じますし、どんな過酷な撮影があっても耐えている。
渡部:本当に、全く弱音を吐かないですよね。
深澤:撮影で1日泳ぎ続けるみたいなことがあっても、音を上げず。
渡部:肩が上がらなくなっても頑張るし、みんな本当にやる気満々でした。そして、熱いんです。見るからに燃え盛ってる人もいれば、静かな闘志を燃やしている人も。とにかく全員熱い。
――松田凌さんは、先日行われたイベントでもかなりコメントが熱かったですよね。
深澤:いや、熱いんですよ!(笑)
渡部:「熱い男・松田凌」みたいな(笑)。
深澤:その熱さがいろいろな人たちに伝染していて、きっと局の上の人たちにも伝わって、味方になってくれてきているんだろうなというのは実感しています。そういう彼らの熱さと、高校生たちが純粋に水泳に打ち込む姿がリンクすればいいですよね。作品のキャラクターと、本人の思いがどこかでリンクしていって、倍のパワーになってお客さんに届くことはあるんじゃないかなと思います。
渡部:1、2話もすでに、熱さが尋常じゃないです。深夜にこんな熱いドラマでいいのかというくらい。
深澤:だいたい深夜ドラマってゆるめに行く感じですけど、目が冴えちゃいますよね(笑)。
舞台とテレビを行き来する流れ
――2.5次元に限らず、最近は月9に山崎育三郎さんが出演されたり、大河ドラマに新納慎也さんや井上芳雄さんが出演されたり、舞台やミュージカルを中心とした俳優さんが話題作に出演されていると思うのですが、そういった流れも来ていますか?
渡部:特にミュージカル俳優が、こんなに急に上がってくるとは思わなかったですよね。テレビって、常に人気者の発掘はしているのですが、少しマンネリ化はしているので、打破したい気持ちはあるのかなと思います。新しい人を探して、やっと演劇のジャンルにたどりついている。それは今の時代の流れで、ネットがあって、様々な趣味を持っている人が情報を拡散できる場があるからこそかもしれません。
深澤:やっぱり、舞台の役者にはファンが付いているので、例えば「会員数が増える」といったようなことも実数としてあったりするのかも。
渡部:今、お客さんも生で体験でできることじゃないと、お金を払わなくなってきていますよね。舞台やコンサートには人が入るけど、映像だけだと厳しかったりする、そういう流れもあるのかもしれませんね。
――この作品もドラマだけでなく舞台公演もありますが、それは最初から企画に含まれていたんですか?
渡部:含まれていました。せっかく役者もそろっていることですし。
深澤:ドラマを見て興味を持った人が、舞台に興味を持ってほしいという気持ちもありました。結果的に、舞台を見る人が増えてくれれば、また良いことだと思います。生の舞台の迫力を感じてもらえるし、彼らの舞台上でのかっこよさは本当にすごいので、少しでも裾野が広がってくれたらと。
少しずつ空気が変わってきた
――人気の方が集まっているので、舞台版はチケットを取るのが大変そうだなという印象もありますが。
深澤:でも最初の頃は、それも埋まるのか心配されていましたもんね。
渡部:「舞台で赤字になるんじゃないか」くらいに思われていました。そのためにまた資料を作って、局内を口説いて。深澤さんはずっと「即完です」と言っていて、私もこのメンバーならそうだろうなと思っていたんですけど、なかなかね(笑)。
深澤:今はもう、そこを疑問に思われることはなくなりました。2016年の11月13日に、日テレ前の広場で壮行会という形で、彼らが思いを語るイベントをやったんですけど、想像以上に人が来てくれて。
渡部:広場が溢れかえりました。集まったみなさんは舞台観劇に慣れているので、お行儀がよくて、静かに熱を持って見守っている感じでした(笑)。でも、Twitter上はめちゃくちゃ熱い。
深澤:関係者の人達もけっこう来ていて、あれで「あ、ほんとに人気なんだ」と思ってくれた感じはありました。役者たちも気が引き締まったところはあって、目の前に本当に応援してくれるファンがいて「期待に応えなきゃ」とは言っていました。逆にこちらも成功させないと、新しい道にもならないので。成功できれば、今回はドラマに出ていない舞台の役者にも目が向くだろうし、彼らの可能性が広がる道になるようにしてあげないといけないと思います。
渡部:新人の登竜門じゃないですけど、つなぎ役ができればいいなと。で、最終的にはビッグになって日テレのドラマに帰ってきてね、みたいな(笑)。
――今後も同じような形のドラマは制作される予定ですか?
渡部:まだ言えるほどの何も決まってはいないですけど、やっていきたいなとは思っています。今度は水泳ではない作品で(笑)。水泳はロケが大変でした……。安西(慎太郎)くんが死んでました。
深澤:みんなほぼ未経験だったのに、よくやりましたよ。
渡部:そこが彼らのプロ根性のすごいところで、2~3カ月の練習で、見られるものに仕上げてきましたからね。
深澤:本当にこれがみんな全く泳げなかった人の姿かと、驚くと思いますよ。あのクオリティは素直に感動します。
渡部:皆、本当にフォームがきれいですから。見所ですよ!
『男水!』
花とゆめ「花LaLa online」で連載中の木内たつや原作コミックを実写化。高校の弱小水泳部を舞台に、男子高校生たちの青春を描く。作中でメインとなる東ヶ丘高校には松田凌(榊秀平役)、宮崎秋人(篠塚大樹役)、赤澤燈(小金井晴美役)、佐藤永典(滝結太役)、神永圭佑(原田ダニエル役)、コーチ役に廣瀬智紀(川崎亮也役)が出演。対する強豪校・龍峰高校生徒として、安西慎太郎(藤川礼央役)、小澤廉(平光希役)、黒羽麻璃央(仁科譽役)、池岡亮介(神宮一虎役)が出演。