では、なぜアース製薬と大幸薬品が資本提携・業務提携を結ぶのか。
前述したとおり、二酸化塩素が両社の縁を結んだ。大幸薬品はクレベリンという商品で二酸化塩素に関して他社に対し先行している。二酸化塩素に関する複数の特許も取得し、現在にいたっている。
一方、アース製薬も二酸化塩素の活用に目を向け、研究・開発にのぞんでいるという。だが、大幸薬品が取得した特許の壁があり、思うままにいかなかったそうだ。事実、アース製薬の代表取締役社長 川端克宣氏は、「弊社でも二酸化塩素の研究・開発を進めていますが、先行する大幸薬品さんの特許を活用させていただく道を選びました」という。
消臭・除菌商品普及への試金石となるか
こうして、アース製薬と大幸薬品の共同事業による二酸化塩素活用商品の開発が始まった。ちなみに、大幸薬品の取締役の一人によると、「アース製薬による資本出資は、M&A的なものでもなんでもなく、商品をスムーズに共同開発するためのものです。資本提携の前から共同開発は進められています」という。
また、「アース製薬が見込んでいる事業領域以外の二酸化塩素の活用であれば、ほかの製薬メーカーへの協力も排除するつもりはありません」とも付け加えた。二酸化塩素で先行する企業ならではのスタンスといえよう。
大幸薬品にとっても、アース製薬とタッグを組む利点が大きくある。それは、アース製薬の販売力だ。
クレベリンという消臭・除菌分野の商品は、ともすれば正露丸でイメージが固着している大幸薬品に結びつきにくい。だが、アース製薬は前述したとおり殺虫剤などの国内最大手で、消臭・芳香剤のイメージとも結びつきやすい。おそらく、国内の薬局の消臭・芳香剤の販売チャネルに大きな影響力を持つだろう。
両社の協業が、消臭・除菌商品の市場をどう活性化させるのか、今後の展開に着目したい。