よく「ダイエットをするとむくむ」という人がいるが、摂取カロリーや脂肪を極端に減らそうとすると、結果的にたんぱく質摂取が極端に制限されてしまい、肝臓のアルブミンが合成できなくなることがある。このようなケースは低たんぱく血症を招き、むくみが起きてしまう。
一方で、食事バランスに配慮しながらのダイエットならいいが、ビタミン(特にビタミンB1)不足によるむくみもある。ビタミンB1が欠乏すると神経伝達障害が起こり、足のむくみやしびれなどの俗にいう「脚気(かっけ)」になる。この状態でダイエットを続けると、心臓機能に影響して脚気心を引き起こし、心不全による全身性のむくみを引き起こすこともある。
ダイエットをしていなくても、つまみも食べずにお酒ばかり飲んでいるような人は、アルコールを代謝するために必須のビタミンB1を消費するので注意が必要だ。
以上のことを踏まえたうえで、むくみとその解消方法を紹介しよう。
バランスのよい食事を心掛ける
特に塩分を控えた素材の旨みを堪能する食事がお勧め。例えば、コンビニ食や冷凍食品、ファストフード、インスタント食品などには多くの塩分が含まれている。冷凍食品やインスタント食品などの裏面の食品成分表を注意してみると、「こんなに食塩を使っているのか」と驚くかもしれない。
できれば、塩分摂取量は一日10g以下に抑えられる努力をするように。酢やトウガラシなどの香辛料を適度に使えば、塩分摂取を抑えることは十分可能だ。
水は飲んだほうがよい?
過剰な水分摂取はナトリウムの排せつを促してしまい、低ナトリウム性のむくみを引き起こすため、注意が必要。生命維持に必要な水ではあるが、一日に摂取する量としては以下を目安にしたい。
■活動レベルの低い(汗をかかない)人 → 2.3リットル~2.5リットル
■活動レベルが高い(汗をかく)人 → 3.3リットル~3.5リットル
この水は食材に含まれる水分、栄養を代謝するときに発生する代謝水も含まれているため、実際の水をこれほど飲む必要はない。
しかし、日本人の水分摂取量は天候に極めて左右されるうえ、欧米人に比べて水分含有量の多い料理を摂取しているため、欧米の目安である「必要水分量の70~80%の飲水」は当てはまらない。基本的な目安としての概算ではあるが、一日に必要な水分の60%程度を水分として摂取するようにしたい。
ただし、飲酒をしたら余分に水を飲むのがよい。夜間就寝時のアルコールの代謝に伴い脱水が起き、血液濃縮によって発症する脳血管疾患のリスクが有意に低下するという研究があるからだ。飲酒後は、コップ2杯くらいの水は飲んでから就寝するようにしてほしい。
適度なエクササイズも忘れずに
体を冷やさず血行を維持できるよう、保温・加温をすることも重要。立ち仕事が要求される仕事であれば、立ちながらでも足のストレッチや屈伸、ふくらはぎの筋肉を伸ばすのがよい。他にも「弾性ストッキングの使用」「下から上へのマッサージ」なども有効だ。
翌日にむくみを残したくなければ、入浴時に足を心臓より高い位置に持ち上げながら、ぬるめのお湯で少しほてるくらい長い時間入浴するのも効果がある。睡眠時は、足の下に枕を置いて心臓の位置より足を持ち上げて寝るとグッド。冷え性の人はとにかく冷やさないように注意したい。
女性は生理のときに、鎮痛剤を服用することも少なからずあるはずだ。最近の鎮痛薬は副作用も少なく安心して使えるが、残念ながら腎臓での尿の再吸収を促進してしまい、その結果、副作用としてむくみを訴える人もいる。原因がわかっているのであれば、上手に付き合い、効率的に薬を使用するのがよいだろう。