オンキヨー&パイオニアイノベーションズからは、もう一つ注目の新製品が出品された。高音質再生に徹底してこだわったAndroidスマホだ。2016年秋のIFA2016にもプロトタイプ版を展示していたが、よりブラッシュアップされて音も聴けるものがCESの会場でお披露目されている。

オンキヨーから音質にこだわり抜いたハイレゾスマホも登場

筆者も持ち込んだイヤホンで音を確認してみたところ、オンキヨーのハイレゾDAPの最新モデル「DP-X1A」の高い解像感、音楽のエッセンスを力強く引き出すパワーは、既存のハイレゾスマホを軽く凌ぐ実力だと感じた。OSにはAndroid 6.0を採用し、Google Playストアからアプリを自由に追加できる。SpotifyやGoogle Play Musicなど、音楽ストリーミングサービスを聴くのもよさそうだ。

音楽再生機能も試せる完成度の高いプロトタイプだった

スマホとしての使い勝手も、富士通コネクテッドテクノロジーズのサポートを受けて練り上げているという。UIのレスポンスは機敏だし、カメラ機能もしっかり搭載されている。スマホは常に通信による電波が発生するデバイスなので、そのオーディオ的な影響を効率よく排除するために、オンキヨーと富士通コネクテッドテクノロジーズがそれぞれのノウハウを持ち寄って密に連携しているのだろう。

そもそも、なぜオンキヨーがスマホを開発することになったのだろうか。先ほどハイレゾDAPについて話した佐野氏は、直接本機の開発には携わっていないが、今回のコンセプトが誕生したきっかけを説明してもらった。

「コンパクトタイプのハイレゾDAPの開発を始めることになった起点と一緒で、最近はスマホで音楽を聴くスタイルが多くの方々に馴染んできたものの、よりいい音で楽しむ環境を追求するのであれば、外付けのポタアンを使ったり、専用プレーヤーとの2台持ちという方向が一般的です。当社は、『じゃあ、とことんスマホの音質をハイレゾが満足に楽しめるぐらい突き詰めてみてはどうだろう? 』と発想してみました。ユーザーの方々にとっても、これ1台を持ち歩くだけでよいので、バッグの中にしのばせるアイテムを少なくできるメリットもあります。私が開発しているハイレゾDAP単体モデルとは真逆のコンセプトで、ライバルということになってしまいますが(笑) 当社としては、いい音で、色んな場所で様々なコンテンツを楽しみたいという方に、最適な製品やサービスを、できるだけ豊富な種類で届けられればと考えています」

DP-X1とサイズを比較。画面は4.7インチから5.0インチに大きくなっている

本機もDSDの再生やバランス出力ができるようになるという。Wi-Fi機能を持っているので、DP-X1Aのようにe-onkyo musicストアから音楽ファイルを直接ダウンロードして楽しむこともできるようになれば便利そうだ。

こちらもバランス出力に対応した。スマホとしては異例のハイスペックだ

スマホとしての詳細はまだ大半の情報がベールに包まれている。そもそも日本で展開するのか、あるいは海外モデルなのかというところも気になるところだし、もしSIMフリースマホとして日本で展開されるのであれば、対応するLTEのバンドや通信速度など、スマホとしての使い勝手も購入を判断する上での大切な材料になる。筆者としても、メインで使っていたAndroidのハイレゾスマホの音質がそろそろ満足できなくなってきたところだったので、日本展開の朗報とさらなる追加情報を、首を長くして待ちたいと思う。