各社がコネクテッドのコンセプトカーを展示

代わりに目立っていたのがコネクテッドカー、つまりはインターネットを介してドライバーや他車とつながるクルマだ。今回は地元フィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)のクライスラー・ブランドとトヨタ自動車、本田技研工業、BMWが、世界初公開のコンセプトカーをお披露目した。

トヨタのコンセプトカー「TOYOTA Concept-愛i(コンセプト・アイ)」(画像左側)とホンダの「Honda NeuV(ニューヴィー)」

クライスラーの「ポータル(Chrysler Portal Concept)」(画像左側)とBMWのコンセプトカー

それだけではない。パナソニックやボッシュなどのサプライヤーも、コネクテッドカーのコンセプトを展示していた。前述したように、彼らは自動車メーカーよりも電気の経験が豊富である。加えてCESは自動車業界のイベントではないので、上下関係を気にせず済みそうだ。こうした立場が、独自のコンセプト展示に結び付いたようだ。

ただ難しいのは、自動運転車はステアリングを取り去ればそれと分かるけれど、コネクテッドカーはそういう表現ができないことだ。ディスプレイを並べるだけなら、現在の車両も実践している。どんな情報を提供し、どんな移動を実現するか。つまり、コネクテッドカーでは「モノ」ではなく「コト」が重要なのだ。

いくつかの自動車メーカーや家電メーカーは、既存の車種にコネクテッド機能を盛り込んだ車両を展示していたが、写真で見ると市販車とほとんど変わらず、分かりにくい。コネクテッドカーに大切なのは「見える化」だと実感した。だから前述の車種に好感を抱いたのだ。

話題を集めたのは意外なクルマ

しかし今回のCESでもっとも話題を集めたのは、残念ながらこのどれでもなかった。地元ラスベガスに工場を持つことになったシリコンバレー生まれのベンチャー企業、ファラデー・フューチャーが持ち込んだナインワン(FF91)という市販電気自動車だ。

主役の座を奪った観のあるファラデー・フューチャーのナインワン

驚くべきはその性能で、最高出力1,050psを豪語し、時速60マイル(約96キロ)までの加速はわずか2.39秒で走り切る。世界最速の加速力を持つ市販車だ。自動運転やコネクテッドにも対応している。それが創業わずか3年のベンチャー企業から生み出されたのだ。

欧州の老舗メーカーに注目が集まりがちなモーターショーであれば、ナインワンはイロモノ扱いされたかもしれない。しかしここは、米国の次世代技術発表の場。ファラデー・フューチャーのような新興勢力が正当な評価を得る場として、CESは申し分のない舞台だと思っている。来年以降も自動車業界に一石を投じるようなモデルが登場することだろう。