2016年もあっという間に終わり。来る2017年はARM版Windows 10やWindows 10 Creators Updateのリリースなど大きな変化を迎える年となる。本稿では2016の米Microsoftと日本マイクロソフトの動向をコンシューマーベースで振り返りつつ、2017年の動きを推察したい。
Anniversary Update登場と無償アップグレード終了
まずは、2016年8月にリリースされた「Windows 10 Anniversary Update」から話を進めよう。修正プログラムが正しく適用されないなど、いくつかのトラブルも見られたが、この大型アップデートによってWindows 10は、2015年7月に出た無印版と比較すると安定度が高まった。また、Windows 7 SP1やWindows 8.1を対象にした「無償アップグレード」が終了し、ユーザーからの戸惑いの声は落ちついた。
10億ものデバイスでWindowsファミリーが稼働するという目標を「野心的過ぎた」と取り下げたのも2016年の話である。Microsoftはその後、目標値を明らかにしていないが、2016年9月に4億台を突破したと発表している。今後もWindows 10搭載PCの台数が増えていくことは間違いないが、PCの需要自体が低迷しており楽観視はできない。Microsoftは、次の大型アップデートを写真家やイラストレーターといったクリエイターへ強く訴求するため「Windows 10 Creators Update」と名付けた。
Windows 10 Mobileは力不足
2016年は、Windows 10 Mobileの飛躍が期待された年でもあった。しかし、現状はご存知の通り、残念なポジションにある。また、日本未発売のLumiaシリーズは大きな赤字を生み出し、Microsoftのモバイル戦略に大きな打撃を与えた。ビジネスシーンにおいては、Microsoft Azureとの親和性が高いWindows 10 Mobileが有効であることは間違いないのだが、盛り上がりを見せる気配はない。
UWP (ユニバーサルWindowsプラットフォーム) アプリケーションが増えることもなく、Windows 10搭載スマホを日常的なモバイルデバイスとして使うのは少々心許ない。ただ、12月のWinHEC 2016で一筋の光が差し込んだ。ARM版Windows 10の存在である。Microsoftは2017年、モバイルデバイス戦略に新たな手を打つだろう。