取材に応じてくださったFabCafeのCOO、川井敏昌さん

これが、何を意味するのか。通常、声だけのコミュニケーションの場合、お客の「すみません」の声に対応した店のスタッフは、その卓に要望を聞きに行く。この時点では、なぜ客に呼ばれたかは判然としない。卓の側に行き、お客の要望を聞いてからアクションを起こす。たとえば、お冷やがほしいという客だった場合、「すみません」と呼ばれてから卓に行き、その要望を聞いてからお冷やを用意して卓に持っていく。

つまりスタッフは、最低でも2度、卓に行くことになる。これは、労力としては無駄になる。だが、ヌードーならば、お客の要望がすぐにスタッフに伝わる。効率を向上させるのに有効といえるだろう。

このソリューションを提供しているのがエスキュービズムという企業だ。ハードウェアとソフトウェアの双方を開発し、ECパッケージやタブレットPOS販売を起点にして成長してきた企業だ。まだ、ベンチャーという段階だが、ある意味、ショップや飲食店の運営ソリューションに精通しているともいえる。だが、このヌードーは、ベンチャーならではのアイデアといえるのではないだろうか。

卓上で数種類のオーダーができるブロック、そしてそれを無線通信(ブルートゥース)により店員のリストバンドに送る。みせられれば単純ではあるが、発想にいたるにはなかなか難しいかもしれない……。

前述のFabCafeで働くスタッフは、必要以上にお客の動向に目を光らせなくてもよくなったと、このソリューションの利便性を筆者に語ってくれた。

さて、お客にとっても店員スタッフにとっても、便利であるこのソリューションだが、必要以上にスタッフとコミュニケーションしたい目的の人には、少し厄介かもしれない(笑)。