国道246号。渋谷から三軒茶屋方面に坂道を上がったV字交差点のところに、「FabCafe Tokyo」というカフェ店が存在する。足を踏み入れると、コンクリート打ちっ放しの無機質な空間が広がるが、店内でカフェを楽しむお客からは熱気を感じる。それもそのはず、このカフェ店は単にカフェを楽しむだけでなく、“ものづくり体験”ができる場として有名だからだ。
具体的には「3Dプリンター」や「レーザーカッター」といった工作機器を店内に導入している。そうした機器を使い、お客は自身のクリエイティビティを満たせるというワケだ。“Fab”は製造・組み立てを意味する“fabrication”の略で、その名からもこのカフェ店のコンセプトがうかがい知れよう。
余談だが、筆者は以前パソコン雑誌に在籍していた。CPUなどの半導体を製造する工場を、「ファブ」などと呼んでいたのが思い出される。
さて、話をFabCafe Tokyoに戻そう。前述したとおり、コンクリート打ちっ放しの店内に、カウンターや10数卓のテーブルが並べられており、お客はそれぞれのスタイルでカフェを楽しめる。ここまでは、街でよくみかけるオシャレなカフェ店とあまり変わらない。
見慣れないのは、卓上にある長方形のブロック。その近くにはアクリル製の説明カードが置いてある。実はこれ、お客と店員のコミュニケーションをサポートするツール「noodoe」(ヌードー)と呼ばれるソリューションである。
スタッフのリストバンドで呼び出し
どういうことかというと、このブロックには「お水」「呼び出し」「次の料理」「会計」といった面が書かれ、その面を上にすることで店員が腕につけているリストバンドにその情報がバイブレーションとともに届く。
これだけでは、何のことやら分からないかもしれないが、お客は卓上のブロックを倒すことで店員に各種オーダーを行うことができる。通常、お水をもらいたい場合、「すみません。お冷やください」と店員を呼び止めるのだが、ブロックを倒すというワンアクションで済むというわけだ。
店員側も、「すみません」とお客から声をかけられただけでは、お水なのか会計なのか、はたまた追加注文なのかわからない。だが、このブロックからの情報により、リストバンドにお客が何を求めているのか表示される。