続いて音楽再生をチェックしよう。今回の取材時点で筆者がインストールしていた音楽アプリでは「AWA」「Google Play Music」「Amazon Music」「Spotify」がAndroid Autoに対応していた。それぞれお気に入りに登録している楽曲やプレイリストを指でタップして再生もできるが、「OK, Google」を活用しながら好きな曲をハンズフリーで呼び出せた方が楽しいはずだ。
結論から先に言ってしまうと、音楽再生の機能はまだ使い勝手があまり良くなく、発展途上段階という感じだった。音声認識の精度にばらつきがあるからだ。音楽をかけていない静かな状態では、ホーム画面やカーナビの画面から比較的正確に曲を見つけて再生してくれる。
手順としては、「OK, Google」と声をかけて、「Spotifyでマドンナを再生」とコマンドを音声入力すれば、Spotifyに登録されているマドンナのおすすめ楽曲を再生してくれる。ところが音楽再生がはじまると、再生中の音楽にかき消されてしまうのか、大声で「OK, Google!!!」とシャウトしないと検索が起動しない。コマンドも正確に受け付けなくなり、「AWA(アワ)」に至ってはサービス名を正しく聴き取ってくれない。仕方ないので曲を再生し終わったら一時停止を押して、静かな状態でもう一度検索から再開した。今回使ったスマホのマイク感度が悪いのかもしれないが、アルゴリズムの方にも改善の余地はありそうだ。
AWAのサービスについては「オフラインリスト」にもアクセスはできたが、スマホのオフラインキャッシュから読み込んで再生するのではなく、どうやらパケット通信が発生するストリーミング再生になってしまうようだ。機内モードにスイッチして楽曲の再生を試みてもうまく読み込まれなかった。Spotifyについてはオフライン再生の楽曲リストがAndroid Autoの場合は表示されなかった。
音楽再生についてはもう一点、スマホのスピーカーでは十分なボリュームが得られなかったので、スマホのほかにBluetoothスピーカーなどを持ち込んで楽しむのもアリだと思う。
以上の課題はまだあるものの、音声コマンド入力は両手をハンドルで塞がれる状態においてとても有効な操作方法だと思う。現時点でも、地図のナビゲーション音声は音楽を再生していても聞こえてきたり、運転の安全性を最優先した理にかなった設計になっている。これから独自に使いやすい音楽再生機能を極めて欲しい。
ちなみに、Android Autoアプリの起動中でも、ニュース速報などの通知は表示された。ものによっては内容を音声で読み上げるよう選択ができればもっと便利になるかもしれない。
そして最大の課題は、Android Autoアプリを使っている間はスマホのバッテリーがかなりのスピードで消耗することだ。筆者のXperia Z5 Premiumは使いはじめて1年と少しになるので、バッテリーそのもののが若干ヘタってきている可能性もあるが、カーナビと音楽再生機能を同時に使っていたら20分のドライブでバッテリーが15%減っていた。ポータブルバッテリーや車内のシガーソケットから充電できるアダプタは、持ち込み必須かもしれない。
Android Autoをこれから試すという方は、ふだん使い慣れたスマホを使ってみてもいいし、ナビや音楽再生を中心に使うというのであれば、データ専用の格安SIMと格安スマホの組み合わせをひとつ用意してカーナビ専用で使い倒すのもいいだろう。その際は地図の見やすさを考えて、なるべく画面が大きい端末を選んだほうがベターだ。
まだ発展途上な部分もあるが、スマホやタブレットさえあればシンプルにカーナビ環境が導入できるアプリとして「Android Auto」はおすすめできるアプリだ。ただ、これからは対応する機能や外部アプリを拡大していく方向よりも、いまできるナビゲーションや音楽再生機能などの「基本形」をしっかりとブラッシュアップしていくことが成功の近道だと思う。