「Android Auto」はGoogleが開発した車載インフォテインメント向けのスマートOSだ。本国のアメリカで2015年に先行投入された後、2016年7月には日本上陸も果たした。利用するには「Android Autoアプリ」をインストールしたモバイル端末のほか、対応のカーナビゲーションシステムが必要だったが、2016年11月のアップデートによりAndroid Autoアプリ単体での利用が可能になった。
つまり、Androidスマホやタブレットをカーナビの代わりとして使いやすくなったというわけだ。今回は、そんなAndroid Autoの実力に迫ってみたい。
必要なものは、Android Autoアプリを入れた4G LTEデータ通信ができるスマホと、これを車のダッシュボードに固定するためのスマホホルダーだ。
Android Autoアプリには、Google Mapをベースにした地図ナビゲーションのほか、音楽ストリーミング再生とハンズフリー通話が主な機能として組み込まれている。アプリを起動すると表示されるメイン画面には、再生中の楽曲、天気、通話、地図の検索履歴、Google Nowカードの通知を表示。Android OSの機能から車で活用できるものをパッケージ化して、運転中に確認・操作がしやすいユーザーインタフェースに最適化してまとめあげている。Androidスマホやタブレットのユーザーならば違和感なく使えそうだ。アプリの画面はタテ・ヨコ表示のどちらにも対応している。
インタフェースの操作には、Googleの音声認識アシスタント機能を使う。アプリの設定画面からは、画面がオフの状態でも「OK, Google」の発声で動作するかなど、詳細設定が決められる。音声アシスタントは、メイン画面の右上に表示されているマイクのアイコンをタップして呼び出してもいい。
まずは筆者の自宅の近所を車でドライブしながらカーナビとしての使い勝手を試してみた。カーナビを初めて使う人や、車の運転に不慣れな人にとって使いやすくできたアプリと言えるのではないだろうか。少なくとも本格派のカーナビのように、機能がてんこ盛りになっていて探しづらい、操作が難しいという感じはしない。
「OK, Google」で検索を呼び出して、「吉祥寺の東急デパートまでの道のりを検索」と話しかければ、ベストコースを地図上に示してくれる。文字をキーボードから入力しなくても、声で直感的に操作できるところがいかにもスマートだ。
マップの種類は平面図とバードアイの2種類。右左折のポイントが迫ってくると、画面の左上にその地点までの残り距離が表示される。音声ナビゲーションの発声もよどみがなく自然。見慣れたGoogle Mapをチェックしながら、街を歩く感覚で運転できる、心強いドライブのパートナーだ。音声操作が中心で、画面をタッチして操作する必要はほとんどなかった。最新のカーナビに搭載されているような、メジャーな交差点にさしかかるとリアルな立体表示に切り替わる機能は搭載されていないが、カーナビ初心者にとってはシンプルな地図に固定されている方が安心かもしれない。
オペレーションがシンプルで良い反面、もう少しカスタマイズができて欲しい部分もある。例えばルート検索だ。Android Autoはなるべく混雑していない道路を選んで最短コースを提案してくれるのだが、運転が苦手な人にとってはちょっと複雑な小道を通る"攻め"のコース取りをレコメンドしてくる場合があった。よく知っている地元をドライブしながら、Android Autoが指し示す道を吟味してみると、確かに近道ではあるのだが、「こっちの違うルートを選択した方が楽に、安全に移動できるのでは? 」と感じることも多々あった。「ドライブ初心者向け」「安全優先」「お急ぎ」など、運転レベルや目的に従った種類の違うルートを見つけてくれる検索モードがあればなお嬉しい。