「(B2Cの部分は)なんとしてもやりたい」。ドローン事業の発表会に登場したKDDI執行役員常務の山本泰英氏は、まずはB2Bのサービスとしてドローンのプラットフォームを提供するが、いつの日かコンシューマー向けのサービスも展開したいと力を込めた。多数のドローンが自律飛行する、KDDIが思い描いているような未来が本当に到来すれば、例えば一般のコンシューマーが手持ちのスマホでドローンと交信し、空撮を頼むとか、現在では考え付かないような何らかの新しいサービスを依頼するといった使い方も、可能になるのかもしれない。
まずはB2Bで信頼感を醸成
通信会社が保有する基地局は、携帯電話・スマホを持つ人を相手にするのだから当然だが下を向いている。高いところを飛行するドローンを、いかにして通信網に組み込むかは、技術的に取り組むべき今後の課題といえるだろう。課題といえば、ドローンの飛行可能区域が規制により制限されていることも無視できないハードルだ。
その辺りはKDDIも認識しているし、これからの実証実験で様々な課題に向き合っていくのだろう。「まずB2Bで顧客から信頼を得ることが重要。それは霞ヶ関にも伝わると思う」と語る山本氏は、ドローンに対する信頼感を醸成することが、様々な規制を緩和するのに有効な手段と見ているようだ。
ドローンの全く新しい使い方が登場する?
「(ドローンの現状は)フィーチャーフォン、スマートフォンの黎明期と似ていると思いませんか」。囲み取材に応じた山本氏は記者団に尋ねた。同氏が例に挙げたのは防水機能。この機能1つをとってみても、出始めの頃のスマホと比べれば今のスマホは相当に進化している。ドローンも同じ進化の道をたどっているというのだ。スマートドローンという名称も、スマホとの類似性を踏まえて名づけたものだという。
多数のドローンが通信網につながり、日本中の色んな場所を飛びまわる世界が現実になれば、通信会社にとって、ドローンは端末の1種のような存在になるのかもしれない。その端末を起点に、様々なサービスを生み出すのは通信会社の得意分野といえるだろう。「(ドローンが)スマホに取って代わるかは分からないが、全く新しい使い方、全く新しい世界ができるのは間違いないと思う」という山本氏の言葉は印象的だった。