KDDIがモバイル通信ネットワークを活用したドローン事業に参入する。例えば農業を支援したり、橋梁の点検業務を手伝ったりするのではなく、「スマートドローンプラットフォーム」という仕組み自体を提供するというKDDIだが、その構想とはどのようなものなのだろうか。
スマートドローンとは何か
IoT時代においては、ドローンがモバイル通信ネットワークにつながり、さらには3次元の空間情報を取得して自律飛行するようになるというのがKDDIの根本的な考え方。そういった時代の到来を見越して、B2BおよびB2B2Cの様々なサービスを載せられるようなドローンのプラットフォームを作っておこうというのが今回の目論見だ。これを実現するため、KDDIはドローンを開発・製造するプロドローンなどの企業と業務提携する。今回の提携は排他的なものではないため、他のドローンメーカーなどが加わる可能性もあるという。
プラットフォームを構成するのは「機体」、「3次元地図」、「運行管理」、「クラウド」の4つの要素。機体はプロドローン、地図はゼンリンが担当。運行管理の部分についてはテラドローンなどと協業の話を進めているという。クラウドはKDDIのものを使うのか、ドローンに向いている他のシステムを探すのか検討中とのこと |
ドローンは基本的に、操縦者と無線でつながっていられる範囲内で飛行するものだし、当然ながら操縦者が現場に居合わせることは必須だ。これに対しKDDIが提示するのは、「通信網×ドローン=スマートドローン」という考え方。常に通信網につながったスマートドローンであれば、遠隔操作や自律飛行が可能となるし、飛行できる範囲も広がるため、その活用方法はかなり増えるだろう。
どこが差別化ポイントなのか
通信網を活用できるドローン事業に関心を示す携帯電話会社はKDDIだけではない。NTTドコモは2016年10月に「ドコモ・ドローンプロジェクト」の本格始動を発表。ドローンを使ったソリューションの提供に向けた検討を行っている。ドローンのビジネス活用については、ソフトバンク コマース&サービスという企業もすでに参入している。
KDDIの発表内容を見ると、スマートドローンプラットフォームの活用方法として挙がっているのは農業支援、インフラ点検、配送、空撮といった具合で、特に目新しい使途は見当たらない。それでもKDDIの取り組みが他社と違うと思える点は、プラットフォームを構築すると宣言していることだ。ドローンの使い方を提示はしているが限定していないところに、将来的なビジネスの広がりに対する同社の期待を読み取ることができる。