マツダのスカイアクティブとは何が違うか
TNGAと概念的に近いのは、マツダが打ち出している「スカイアクティブ・テクノロジー」だろう。“Be a driver.”や“人馬一体”といった言葉に象徴される、運転して楽しいクルマを目指すべく、マツダはゼロからクルマづくりをスタートし、エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーを新開発とした。スカイアクティブ・テクノロジーは技術というより、思想に近い存在かもしれない。
ただし、デザインについては「魂動」という別のストーリーが存在するマツダとは違い、トヨタのTNGAはテクノロジーとデザインが連携しており、開発コスト低減によって品質向上を目指すところはMQBに似ている。さらに、この2つの技術とTNGAが決定的に違うところもある。低重心へのこだわりだ。
次期カムリでエンジンもデビュー
重心を低くすると、ハンドリングが向上するだけでなく、乗り心地も良くなる。サスペンションを固めなくても安定した走りが得られるからだ。軽さはすべての面で有利に働くというのはよく言われることだが、低重心もまた多くのメリットをもたらすのである。
現行プリウスに初めて乗ったとき、なによりも印象的だったのがこの低重心だった。ステアリングを切った瞬間、車体がスッと向きを変える感触は、やはり低重心を突き詰めたスポーツカー「86(ハチロク)」を思わせるほどだった。先日プロトタイプに乗ったTNGA第2弾のC-HRも、クロスオーバーSUVであることを感じさせない走りを見せつけてくれた。
ただしプリウスやC-HRは、プラットフォームについてはTNGAを導入したものの、パワートレインについては従来型を採用している。TNGAエンジン第1弾として開発されたのは2.5L直列4気筒で、来年1月に発表予定の次期カムリにまず搭載すべく、今年中に日本国内で生産が始まるという。続いて海外向けの次期カローラに搭載予定と言われる2L版が、TNGAエンジン第2弾となる。
次期カムリはプラットフォームもTNGAを採用すると言われている。TNGAにとっての本番は、実はこれからなのである。