そして、2000年代に入り、「丸の内フロンティア」というベンチャー支援組織を組成し、ベンチャー支援に本格的に動き出す。
「もともとこの地区は弁護士や行政書士といった士業の方々が多かったため、起業を目指す方々には都合がよかったのです」(相川氏)。そこで、こうした士業の方々やエリアに協力を得てネットワークを築きました。さらに「東京21c(世紀)クラブ」という会員制ビジネスクラブを立ち上げた。前出の丸の内フロンティアは今もこのビジネスクラブ内で機能している。
こうした支援の結果、数社がIPO(新規公開株)を果たしたが、問題もあった。それはベンチャー向けのオフィス区画が圧倒的に少なかったことだ。
その問題を解消すべく、三菱地所が手を打ったのが、2007年に竣工した「新丸の内ビルディング」内に用意した「EGG JAPAN」という施設。これはベンチャー向けのオーダーメード型の事業開発支援が受けられるオフィススペースで、先に紹介したグローバルビジネスハブ東京の“兄貴分”的な存在だ。
そしてこのエリアが「国家戦略特区」に指定されると、海外企業の取り込みが加速する。この国家戦略特区には国際競争力の強化という役割も与えられるため、海外からの進出企業にも広く門戸を開き、グローバル企業にアジア・パシフィックの拠点として好まれる、シンガポールや香港といった都市に対しようというわけだ。
そうした方針のためかグローバルビジネスハブ東京に入居する企業は44社にのぼるが、そのうち26(企業数は2016年10月時点)が海外企業だという。
相川氏は「グローバルビジネスハブ東京には全50区画ありますが、短期間で現在ほぼ満室稼働となっています、と最後に笑みをこぼした。