技術発表から一年で製品化。新宿本社で見学も可能

エプソンは11月30日、昨年(2015年)12月に開発発表を行った世界初の乾式オフィス製紙機「PaperLab A-8000」の製品化を発表。12月から販売を開始する。価格はオープンプライスだが、販売は2,000万円前半、さらに7年間の保守パックを500万円程度で予定しており、別途電気代と消耗品代が必要となる。

12月から販売を開始する乾式オフィス製紙機「PaperLab A-8000」。本体サイズはW2,848×D1,429×H2,113(ただし左のパトライトの高さまで)

反対側から。発表時と比べると、排紙ユニットの後ろに電源部が出っ張ったそうだ。200V/40Aの電源設備が必要で稼働中の平均消費電力は6.5kw

環境とエネルギーの未来展「エコプロ2016」にも出展するほか、東京都・新宿(JR新宿駅に隣接するミライナタワー)のエプソン本社でも実機の見学が可能だ(要申込み)。

PaperLab A-8000は、印刷済みのオフィス用紙(一般的なコピー紙)を本体内で瞬時に紙繊維に加工。これに独自の結合素材を混ぜ、A4/A3サイズの用紙として再生する装置だ。大きな特徴の1つは、再生紙の設備に必要な多量の水が不要な点(本体内の湿気を保持するために多少の水は必要)。これにより小型化を実現した。上の写真を見ればサイズ感が分かると思うが、そこそこの広さを持つオフィスなら社内に設置できる。当初は、紙の消費量が多い大企業や、自治体への導入がメインとなる。

用紙をセットして3分で最初の紙が出力され、秤量90gのA4オフィスペーパーなら1時間に720枚の再生紙製造が可能だ。結合素材には色つきのものがあり、カラーの再生紙も作れる。また、最大240gまでの厚紙も出力できる。一般的なコピー用紙は秤量が65g程度だが、再生紙でコシが弱いことを考慮して、少し重い再生紙としている。

給紙ユニットのアップ。使用済みのA4コピー用紙を4,000枚セットできる。上はA3コピー用紙をセットするサブ給紙ユニットオプション

排紙ユニットのアップ。最大3,000枚となり、給紙と排紙の数量が異なる。理由は、給紙側のオフィス用紙は65g程度なのに対し、排紙側(再生紙)は90g~240gであることと、紙粉などのロスがあるため

消耗品カートリッジ。左の2つが紙を結合するバインダーとなり、Pが薄紙用でPHが厚紙用。右の4つは紙の白色度を上げたり色を付けるための色素だ

ドライファイバーテクノロジーで繊維化された紙。実際には二段階というわけではないそうだが、右は荒い状態で、最終的に左のパルプ状になる

繊維化した際に紙粉などは別途排出。こちらは可燃ごみとして処分することになる

オペレーション画面。紙の種類や運航停止はここで行う。通常のオフィスペーパーを製造中

「リサイクル」という観点とは別に、PaperLab A-8000はオフィス内で紙を再生するため、機密文書をオフィス外に出すことなく処理できるのが最大の魅力ともいえる。つまりは情報漏えいのリスクを大幅に減らせるということで、この点はエプソンも強く押す。加えて、再生業者に支払う運送料や、CO2の削減、紙素材となる森林資源の節約にもつながる。

説明パネル。1日8時間の稼働を想定しており、1時間当たり840枚の紙を粉砕し、720枚の再生紙を生産できる

再生、加工された紙のサンプル。プレーン(白)といっても微妙に色が残っているが、リサイクルペーパーという主張にもなるだろう。色づけも可能だ

現段階で導入を計画・検討している企業(社名の公開に同意した企業)。これら15社のプミアムパートナーを優先して出荷