自動運転の実現に向けてどう取り組むか
1つ懸念していることは、サムスンとハーマンの連合が、今後いかにして、今現在進んでいる自動車とテクノロジーのトレンドに関わっていくのか、という点だ。現在、自動車とテクノロジーが注目しているのは、自動運転の実現だからだ。
例えば、スマートフォンとの連携でいえば、世界的に普及しているモバイルOSを擁するアップルとグーグルと比べれば、サムスンが有利な位置にいるとは考えにくい。今後の自動車とテクノロジーの領域で注目される各種アプリケーションの前提となる自動運転についても、サムスンは2016年に本格的な開発をスタートした状況だ。
今後、更なる企業買収や技術提携などを通じた急速なノウハウ獲得を行っていかなければならないことが予測できる。その1つ目のマイルストーンは、2018年の平昌冬季オリンピック。韓国政府はオリンピックにおける試験走行を実現し、2020年に実用化する計画を打ち出している。
自動運転の体験
カリフォルニア州ではすでにテスラに実装されているアダプティブクルーズコントロールでの運転を体験することができる。いわゆる「レベル2」、加速・ブレーキ・ハンドル操作の複数の作業を自動的に行うことができる。
高速道路における自動追従等、機械に運転を任せることに対して、最初は非常に大きな不安もあった。ただ、安全運転支援システムの延長としてとらえ、システムの特性などを理解しながら、自分も周囲の状況に注意していくと、非常に快適な移動体験をもたらしてくれると感じた。
サンフランシスコやシリコンバレー周辺の朝夕の大渋滞においては、レベル2の自動運転は絶大な効果を発揮しており、ユーザーに話を聞くと、口々に「もう自分で運転なんてしたくない」と言う。
まだまだステアリングから手を離すには至らないが、これも時間の問題ではないか、と思えるほどに、走行距離に比例する知見がテスラに蓄積されていることが分かる。段階的にでも、早く実用化していくことが重要な世界だと感じさせてくれる。
サムスンが今後、どれほどのスピードで、この業界にキャッチアップしていくのか分からないが、いずれにしても素早い動きが求められる。