夫を主人公にする
山崎さん: すり合わせはしていないですね。合わせようとも思っていないです。それぞれのやり方でいいのではと。今はまだ赤ちゃんなので、大きい問題が出ていないだけかもしれませんが。ただ、赤ちゃんではあるけれど、結局、人間関係だから、1対1じゃないですか。だから、あまり口出しをしなくていいんじゃないかと。
紫原さん: 旦那さんと赤ちゃんの関係、山崎さんと赤ちゃんの関係、ということですかね。
山崎さん: そうですね。それに、私はあまり母親とか父親とか、それぞれの役割を考えないようにしています。「父親だからこうしてほしい」ということは言わないようにしていますし、私自身も「母親だから」という意気込みはないので、ストレートに親として接していこうと。夫をサポート役にしてしまったらいけないんじゃないかと思っていて。夫は主人公として子育てに向かわないと意欲的にやっていけないと思うんですよ。
紫原さん: 以前、「夫婦で子育てをしてもらう上で、旦那さんに協力してもらうにはどうしたらいいですか」という取材を受けた時に、「旦那さんがイニシアチブをとれないような環境は避けた方がいい」と答えたことがあります。例えばおむつの場所を奥さんしか知らないこことかって、結構起こりがちじゃないですか。気づいたらそうなってたということがありますよね。
山崎さん: 私は、お宮参りの時は夫が子どもを抱っこするとか、初めてお風呂に入れる時は夫がするとか、子どもの節目は夫に譲るようにしています。自分がやりたかったという気持ちがないわけではないですが、私はフリーランスなので子どもと一緒にいられる時間も長いですし、そんな時はできるだけ譲った方がいいなと思っています。出産とか病院で一緒に過ごすとかは私がやれたので。夫も喜んでやっていますね。
長寿命時代、老後の恋愛も
山崎さん: 『家族無計画』の「アンケートで未婚か既婚かと尋ねられ、戸惑う」というところで、いいなと思った文章があります。
「日本人は今や、平均して80歳くらいまで生きる。恋愛や結婚、そして働き盛りのタイミングが必ずしもみんな一律に30歳前後で来なきゃいけない、なんてことはないはずで、例えば仕事を引退し、あるいはシングルの子育てが一段落して時間に余裕ができた頃に、いよいよ本格的に恋愛にのめり込んだっていい。」
医療をこんなに活発化させて寿命を延ばしている時代なんですから、やるべきはもっと多様な人間関係が築ける社会にしていくことですよね。昔は早く死んじゃっていたから、恋愛して子どもをうんで、ということを早い段階でやらないといけなかったんですけど、今は友だちをいっぱいつくる時間も増えたし、いつ恋愛してもいいという状況もできていますよね。
紫原さん: 山崎さんに朗読してもらえるなんてうれしいです。私、働き盛りのピークが30代じゃなくてもいいと思うんですよね。今日では60・70歳でもみんな元気じゃないですか。30・40代がピークだと思っているから、20代のうちから倒れるまで働いてしまうけど、期間が長くなったんですから働く割合をならしていってもいいでしょうし。長く生きられるようになった分、余裕ができているはずなんですよね。
私はすごく老後の恋愛を楽しみにしています。子どもに無理をさせたくないという思いがあって、「お母さんは離婚しているんだから、恋愛してもいいでしょ」というのは制度的に正しいとしても、子どもがもやっとするのであれば、今は活発にはできないなと思っています。子どもがもう少し大きくなって、私に仕事で蓄えができて、100%頑張らなくても週の半分くらいは遊んで暮らせるようなって、生理もあがって。そんな時の恋愛ってすごく楽しんじゃないかなっていう期待があるんですよね。逆に、長く生きなくちゃいけないなって恐怖感はありますけどね。