コネクティッドカンパニーのトップが語ったのは
「モビリティサービスのプラットフォーマー」。トヨタが2016年4月に設立したコネクティッドカンパニーのプレジデントを務める友山氏は、同社がコネクティッドカー戦略で目指す姿をこのように表現した。DCM搭載車の全てをコネクトし、それをプラットフォームとして捉えてサービスを提供したり、ビジネスを展開したりしようという構想だ。
トヨタはグローバルでDCMの共通化を進めており、2020年までには日米でほぼ全ての乗用車にDCMを標準搭載し、その後は他の主要市場にも順次拡大していく方針だという。トヨタ車の全てがつながれば、そのプラットフォームの規模は相当なものになる。提携関係にある富士重工業(スバル)やマツダなどを巻き込むことができれば、トヨタのプラットフォームは更に拡大することだろう。
しかし、これではトヨタグループの中で閉じたプラットフォームになることも免れない。こういった背景を考え合わせると、トヨタがTCスマホナビを無料化する理由について1つの推論が浮かんでくる。
ナビアプリもプラットフォームの1つ?
トヨタが作った信頼性の高いナビアプリであれば、トヨタ以外のメーカーに乗っているドライバーもダウンロードして使ってみる気になるかもしれない。つまり、TCスマホナビ経由で、トヨタはトヨタ車以外のドライバーともつながることができるわけだ。TCスマホナビで様々なモビリティサービスを提供することが可能ならば、このアプリはプラットフォーマーを目指すトヨタにとって、まさにプラットフォーム(の1つ)のような存在となる。
実際に、TCスマホナビでは外部のサービスとの連携を進めていく予定。まずは駐車場シェアリングサービス事業者のakippaと連携し、駐車場の検索・予約・ナビゲーションサービスを提供するという。トヨタ広報によると、TCスマホナビはクルマに乗っている時だけでなく、乗車前後にも使ってもらうことで、カーライフ全体を豊かにするのが目標だそうだ。
akippaとの連携の例を見ると、例えばTCスマホナビ上に、カーシェアリング関連のサービスが存在したとしても不思議ではない。カーライフを豊かにするという観点からでも、TCスマホナビに乗せられるサービスはいくらでも考えられそうだ。トヨタがナビアプリを無料化するのは、月額2,500円のビジネスとしてアプリを展開するよりも、そのアプリを起点として様々なサービスを提供する方にメリットを見出したからなのかもしれない。