日本労働組合総連合会(以下「連合」)は11月16日、長時間労働是正に関する勉強会を開催した。勉強会では、長時間労働の実態やその解決法としての「勤務間インターバル制度」について、解説が行われた。
日本における長時間労働の実態
長時間労働の是正は、安倍晋三内閣総理大臣が掲げる「働き方改革」の大きなテーマのひとつだ。安倍総理は「長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性、高齢者も、仕事に就きやすくなる」(2016年9月27日、第1回「働き方改革実現会議」)と発言している。
勉強会では、まず長時間労働の現状分析からスタート。連合総合労働局長の村上陽子氏は、「日本における長時間労働は常態化、かつ深刻化している」と指摘した。
村上局長「厚生労働省の2016年版『過労死等防止対策白書』によると、長時間労働は『働き盛り』と言われる30代~40代男性で特に高くなっている。例えば月末の残業時間が1週間で20時間以上(単純計算で1日4時間以上)となる人の割合は2割近くにのぼる」
厚生労働省の「過労死等に関する実態把握のための社会面の調査研究事業」(2015年度)によると、残業時間が長くなるほど「3時間以上6時間未満」の睡眠時間の割合が高くなる。週に20時間以上残業している人では、約半数が6時間未満の短い睡眠しかとれていないという。
村上局長「短い睡眠時間が常態化すると、健康問題が起こりうる。長時間労働は、生活時間や睡眠時間を確保する上でも規制が必要である。厚生労働省の調査では、毎年多くの人が過労死・過労自殺をしていることがわかる。また、『18時頃に退社できるようになったらしたいこと』を尋ねたJILPTの労働者調査では、『心身の休養・リフレッシュをしたい』という声が6割を超えた。趣味や家族との団らんという人の割合が増えることが望ましいが、それよりも『休みたい』という切実な声があがっている」
「勤務間インターバル制度」は長時間労働の解決策たりえるか
では、労働者が休息時間を確保するためには具体的にどのような対策を講じるべきなのか。情報産業労働組合連合会(以下「情報労連」) 書記長の柴田謙司氏は、勉強会で「勤務間インターバル制度」の導入が解決策になりうるのではないか、と提案した。
勤務間インターバル制度とは、「労働の終了から次の労働開始まで、一定の休息付与を義務付ける規則」である。
EU諸国では、2000年に改正された「EU労働時間指令」に基づき、労働者の健康と安全確保の観点から「24時間につき最低連続11時間の休息時間(勤務と勤務の間隔)を付与すること」「7日ごとに最低連続24時間の休息を付与すること」が義務付けられている。