ポイント制度はどこが成功するのか

au WALLETが人気を博したことで、対抗する2キャリアも即座にポイント制度にテコ入れを行なった。ソフトバンクはau WALLETの発表後すぐに、CCCと提携して、2014年7月から同社の「ソフトバンクポイント」をTポイントに移行した。ドコモにも「ドコモポイント」があったが、2社に遅れること約1年半、2015年12月に「dポイント」としてリニューアルした。

大手キャリア3社のポイント制度を並べてみると、それぞれの特徴がうかがえる。ソフトバンクは社外のTポイントと提携することで、ポイント制度自体の手綱を取ることはできないが、ポイントの提携先は圧倒的に多く、ポイントが貯まりやすく使いやすいという汎用性を最大にすることができた。

また、傘下のヤフーをうまく利用して、ECなどの利用でポイントの還元率がどんどん高まるような仕組みを用意している。中には10%、20%といった高倍率が実現するキャンペーンも実施されるほどだ。コンビニチェーンとしてファミリーマート系での利用が行えるが、全国に展開しているTカード加盟店のほうが大きなインパクトだと言えるだろう。

ドコモはau WALLETをよく研究し、マクドナルドなど、ポイント還元率の高い提携先を増やすなどして魅力を高めている。コンビニチェーンとしてローソンと提携し、同社のPontaカードと相互にポイント交換ができる(交換レートは1:1)。また、ポストペイド式電子マネーの「iD」を擁するにも関わらず、プリペイド式のdポイントカードを導入するなど、広くユーザーに訴求するようにしているのが特徴だ。

規模感の違いこそあれドコモも付与ポイントを高めるキャンペーンを実施している

先行するau WALLETは、提携先はさほど多くないものの、先陣を切って制度を導入したこともあり、コンビニチェーン最大のセブン-イレブンと提携できたのが大きい。そこに来て今回のau STARの導入で、還元率の改善とお得感の醸成を狙う。経済圏がクローズドである点は短所だが、無理せず手堅い改善を施していくことになる。

ポイント制はユーザーをキャリアの経済圏に囲い込むための非常に有効な手段ではあるが、貯まりが悪かったり、見返りが悪くてはポイント自体への魅力が薄れてしまう。提携先を増やし、効率的に貯まる仕組みを用意して広くポイントが貯まるようにしなければならない。

この点は各社とも苦労しているようだが、KDDIとしては「サービスの継続性」というキーワードで、無理せずユーザーに還元する道を選んだことになる。競争はこれからも激化するとみられるが、各社とも数千万のユーザーに影響するだけに、制度破綻するような拙策は控えねばならない。KDDIが選んだバランスがうまく機能するかどうかを注視したい。