トヨタとテスラ、複雑に絡み合う両社の関係
テスラモーターズ。米シリコンバレーに拠点を置くEVベンチャーだが、いまやEVメーカーとして世界的に脚光を浴びる存在だ。このテスラとトヨタは関係がある。両社は2010年にEV共同開発の業務提携を締結。テスラの製造工場は、かつてトヨタがGMとの合弁生産を行っていたニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング(NUMMI)のカリフォルニア・フリーモント工場の跡地である。トヨタはテスラとの業務提携に基づき、「RAV4 EV」を2012年まで米国で販売していた実績もある。
テスラは起業家イーロン・マスクのベンチャー経営で、「モデルS」、「モデルX」に続き、量販低価格車「モデル3」を発表し、その予約販売方式で大きな評判を呼ぶなど、今や世界のEVメーカーをリードするほどの勢いを示している。一方で、モデルSに搭載したオートパイロットシステムでは、半自動運転で死亡事故を起こしたことでも世間の耳目を集めた。
毀誉褒貶はともかくとして、テスラはEVメーカーとしてフロントランナーのポジションにあり、リチウムイオン電池は米ギガファクトリーでパナソニックとの合弁生産を行っている。トヨタはパナソニックと国内でニッケル電池・リチウムイオン電池の合弁企業「プライムアームEVエナジー」を展開する関係にある。トヨタとテスラの関係は、その後両者の思惑がずれ始めて協業の動きはなくなっているようだが、複雑に絡み合っている。
トヨタが社内ベンチャーでEV開発を急ぐ方針を打ち出したのも、米テスラとの業務提携(提携時点でトヨタはテスラに出資)に学ぶところがあったのだろう。