動画見放題サービスは?

説明会の最後に質疑応答および囲み取材が行われ、石田氏が対応した。

モバイル市場では、動画配信サービスが流行している。トーンモバイルではTSUTAYAのコンテンツが視聴できるサービスは展開しないのだろうか。これについて質問されると、石田氏は「TSUTAYAは日本で一番エンタメを買っている会社。ビジネスモデルとしてはやりたい気持ちもある」としつつも、「それをユーザーが求めているか、利用者のメリットになるか、ずっと検討している。まだ答えが出ていない」と回答。続けて「トーンモバイルの利用者の方は、実際にTSUTAYAの店舗に来られる方。デジタルコンテンツをどうこうするよりも、リアルのサービスとセットにすることが喜ばれている」と説明。現在、CDやDVDが毎月無料で借りられるクーポンを提供しているが、好評だという。

新機種の追加は?

シンプルで分かりやすいサービスを目指している同社。サービス開始時から1機種1プランの提供のみだが、今後ともラインナップの拡充はしないのだろうか。

それについて聞かれると、石田氏は「いまは端末のスペックを追い求めるのではなく、お客様の満足度に注目している。ハードウェアの開発・研究は進めているが、まだ新しいハードウェアに対する需要は小さい。そこでソフトウェア、ファームウェアのアップデートなどに注力している」と説明した。

競合他社では、SIMロックフリー端末を積極的にラインナップに加えて展開している。しかし、トーンモバイルでは他社のスマートフォンを追加することも考えていないという。「何処かの端末を持ってきてしまうと、サービスの軸がぶれてしまう。そうなると勝負にならない」(石田氏)。

ちなみに、トーンモバイルの次期端末ではFeliCa、防水なども搭載できる準備はあるとのこと。こちらも、利用者のニーズを見て慎重に検討を重ねていくという。

レッドオーシャンを生き延びるために

インターネットの黎明期からサービスを展開している石田氏は、かつてISP(インターネットサービスプロバイダ)が爆発的に増え、やがて淘汰されていった現実を目の当たりにしてきた。モバイル市場も今後、こうしたレッドオーシャンに入ることを見込んでいる。そうした消耗戦を生き延びるためには、独自のスタンスが重要だという。

「長い戦いになる。消耗戦になっても利益を出せる構造をつくっていく。それがお客さんに対する責任にもつながる」と石田氏。信頼できるパートナーと組んでサービスを動かしていくことが重要、と繰り返し説明した。

現状、利用者の規模はどのくらいなのだろうか。石田氏によれば、freebitで目標としていた1%のシェアをほぼ獲得しているという。携帯電話市場の契約者数は約1億と言われている。その1%であれば100万という規模になる。石田氏は「今後は、トーンモバイルだけで1%を超えるようにしていきたい」と説明。トーンモバイルでは年度内に200店舗の展開を計画しており、「200店舗あればかなりの戦いができるのでは」(石田氏)と話していた。