今回の50円朝食もそうだが、全国に広がりをみせる100円朝食は、朝食市場の広がりに期待できる。現在、4人に1人、約24.7%が朝食を欠食しているといわれ、特に若者世代でこの傾向が強い。この欠食による朝食市場の損失は約1兆6,000億円ともいわれている。 ただ、ここ数年、「グラノーラ」が大ヒットするなど、朝食に対する意識が高まっていることは確かだ。

それを裏付けるように、早稲田大学学生部学生生活課の和田憲征氏は「春と秋に100円朝食を実施して学生から好評を得ていますが、50円朝食となると反響がさらに高まります。こうした低価格朝食を機会に“朝、食べる習慣”を身につけてほしいです。フジッコさんのスープやシリアルのように、手軽に朝食として摂れる商品が増えていますので、注目していただきたいです」と語る。

もちろん、50円朝食、100円朝食は、学生の健康的な生活を考えてのことが第一義だが、「シッカリと朝食を摂っていただいたあと、きちんと9時からの1時限目に出てもらうのもねらいです」(和田氏)と笑みをこぼす。ただ、そうした目論見に反し、その日、授業がない学生が50円朝食、100円朝食を食べにくる例も多いそうだ。もちろん、そうした学生の利用も“ウェルカム”だという。

フジッコの「朝の食べるスープ」。“朝”という言葉を商品名につけることで、いつ食べるのか、明確にしている

さて、グラノーラのようなシリアルの大ヒットにより、朝食が見直される傾向にある。そんなシリアルに続けとばかりに各食品メーカーが力を入れている分野がある。それが、前出のフジッコ「朝の食べるスープ」のようなレンジアップタイプのチルドスープだ。フジッコだけでなく明治乳業「Daily Rich」や永谷園「玉ねぎをたっぷり食べるスープ」と、チルドスープで先行するフジッコを追随する様子をみせている。

スープといえば、粉末にお湯を注ぎ飲むタイプがこれまでの主流だった。だが、具だくさんのチルドスープが、ここ最近、存在感を強めている。

フジッコのブランドマネージャー 入道知生(にゅうどうともいく)氏はこういう。「以前から具材入りスープを手がけた企業はあったが、軌道に乗ったのは弊社の『朝のたべるスープ』が初めてかもしれません」。さらに、今回の早稲田大学に供給した50円朝食に対しても「朝食の欠食が始まるのは、高校、大学あたりからが多いといわれています。そうした傾向を少しでも抑えるために今回の50円朝食に協力させていただきました」という。

フジッコがメインで活動している腸温活プロジェクト。現在、協賛しているのは前出の法人のみだが、今後、協賛企業が増えれば大きな流れになりそうなプロジェクトといえよう。