東武が日光地域で新しい施策

実は、東武鉄道は、ここのところ相次いで日光地域への施策を講じている。

8月には、日光市で1873年に外国人向けの宿泊施設として開業、日本最古のリゾートホテルである金谷ホテルを買収。「日光金谷ホテル」と「中禅寺金谷ホテル」2館が傘下に入った。金谷ホテルは、建物自体が文化財指定を受けているものもあり、宿泊施設としての価値だけでなく、そのものが観光資源になっている。買収と今回の新設ホテルによって日光地区で東武鉄道は4つの傘下ホテルを持つことになる。

また、2017年夏をめどに、東武鬼怒川線下今市-鬼怒川温泉間において、蒸気機関車(SL)を復活させる。JR北海道からSL車両「C11形207号機」を借り受けるほか、全国のJRから車両などが譲渡される。復活したら、土日を中心に年間最大140日程度(1日3往復程度)運行される予定だという。それにあわせて、SLの発着拠点となる下今市駅は昭和レトロのある駅舎に改修。SLの見学エリアを設けるなど駅自体も観光スポットにしていく。さらには、子会社が営業している中禅寺湖の遊覧船に新型を導入。地域観光の目玉を増強している。

新型船のイメージパース。東武興業HPより

こういった施策は東武鉄道の「東武グループ中期経営計画2014~2016」で 観光戦略の1つとして掲げている「日光・鬼怒川地区等沿線観光地の活力創出」の一環だ。

東武鉄道が日光地区を沿線に収めているからと言えばそれまでかもしれないが、今改めて集中的に日光地区への施策を強化するには理由がある。

外国人から見た日光

日光市の調査によると、日光を訪れる観光客は最近増加している。訪問者数全体だと2015年で前年比11.3%増の1195万人。宿泊者数だと前年比8.6%増の352万人となっている。

増加傾向は喜ばしいが、その一方で訪問する人のうち宿泊する客は約30%。日帰りと宿泊では、その地域に落とす消費額に大きな差が出てくるため、宿泊者数をどれだけ伸ばせるか。ここに観光業の伸びしろがある。