ガイドラインの"抜け穴"を活用した実質0円販売

なぜ実質0円販売がなくならなかったのかというと、一言で言えばガイドラインに"抜け穴"があったからである。

抜け穴の1つは、キャリアが販売代理店に出す、販売奨励金のあり方である。販売代理店に対して端末購入を条件とした多額の奨励金を出すことは、もちろんガイドラインでも認められていない。しかしながら回線の販売など、直接端末にかかるものではない奨励金に関しては、ガイドラインの対象とはされていなかった。

そうしたことから、回線販売などに対する奨励金を販売代理店に出し、販売代理店がその奨励金を原資として端末の値引きに活用することで高額端末を値引き、実質0円を割り込む価格で販売するケースが多く発生したのである。

「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」第1回のソフトバンク公表資料より。端末販売にかからない販売代理店への奨励金を活用し、代理店が端末の値引きを実施するケースが多く見られるという

また販売代理店が、ごく短期間の期間限定キャンペーンによる割引によって、実質0円販売を実現するケースも多く存在する。こちらもガイドラインで明確な規制がなされているわけではないことから、特に土日など週末に限定キャンペーンを打ち出すことで、端末の実質0円を割り込む販売をするケースが多く見られるようだ。

キャリア自身が直接端末を値引くキャンペーンを実施したり、回線販売に割引を乗せるたりすることなどは、もちろんガイドラインでも厳しく制限されている。だがガイドラインの抜け穴を突く形で、販売代理店を経由した割引、あるいは販売代理店独自の割引がなされ、実質0円やそれを割り込む販売手法が現在でも展開されているわけだ。