地球を丸く見てみる

犬吠駅の中には、銚子電鉄のオリジナルグッズやお土産を取りそろえた売店がある。経営難の銚子電鉄にひとつの光となった「銚子電鉄のぬれ煎餅」(1枚税別100円)のほか、「銚電のぬれ最中」(6個入り/税別900円)、銚子電鉄の形をした「トレインボトル」(税別280円)など種類も豊富。訪れた時はちょうど、記念乗車証明書をデザインした「マグネット」が税別93円から税別50円になっており、ちょっとお得なお土産もあった。弧廻手形を持っている人は、ここでぬれ煎餅をもらおう。

銚子電鉄土産は犬吠駅で

犬吠駅の駅舎がポルトガル風なのには理由がある。犬吠駅から歩いて行ける犬吠埼灯台とポルトガルのシントラ市にあるロカ岬は、ユーラシア大陸の東と西に位置するとのこと。その縁で、銚子市とシントラ市は友好関係にあるという。そして、駅舎前には貧乏神に犬が乗った「しあわせ三像」なるものも。"貧乏がイヌ"ということで、犬が幸福・子宝・長寿をもたらしてくれるとのこと。「語呂もよくてかわいいわよね」と、地元民にも親しまれているようだった。

電車が来ると撮影タイムに

"貧乏がイヌ"

車掌・袖山さんもオススメの犬吠埼灯台は犬吠駅から徒歩7分。そして、地球の丸く見える展望館へは徒歩15分なのだが、駅から逆方向なので今回は地球の丸く見える展望館に行くことにした。道中には願いがかなう観音さまがいらっしゃる「満願寺」があるので、時間があれば立ち寄ってみるのもいいだろう。

満願寺で一度、心を整えて

満願寺脇の坂を上りきると、地球の丸く見える展望館が見えてくる。展望館は愛宕山の頂上に位置しており、オススメはその名の通り、360度の大パノラマで地球の丸さを実感できる屋上の展望スペースだ。中央にはステップが設けられており、ここからぐるっと見渡せば、330度展開された水平線でちょっと不思議な感覚が楽しめる。天気がいい日には富士山や筑波山の姿も。水平線に沈む夕日はもちろん、地理的な理由で銚子は日本一早い日の出が拝めるため、初日の出をここで迎えるのもよさそうだ。

このステップに立ってぐるっと地球を眺める

●information
地球の丸く見える展望館
住所: 千葉県銚子市天王台1421-1
料金: 大人380円、小・中学生200円、65歳以上330円
開館: 4月~9月9時~18時30分、10月~3月9時~17時30分
定休日: 年中無休
アクセス: 銚子電鉄「犬吠駅」から徒歩15分

漁村の坂道でノスタルジーな時間を

銚子電鉄の終点である外川駅へは、地球の丸く見える展望館から徒歩15分くらい。駅の先には外川漁港が広がっており、港を中心に碁盤の目状に細い坂道がつながっている。この8つの坂道にはそれぞれ名前が付いており、ノスタルジックな駅舎とともにその町並みも情緒ある漁村の風景として知られている。

外川駅の駅舎。照明にも歴史を感じる

地元の方に「どの坂道がオススメですか」と聞いたところ、「どうだろう。端から歩いてみるといいんじゃないかな」とのこと。駅舎からまっすぐ進んだところに6つの坂道が並んでいるので、時間が限られている時はこの坂道から歩いてみるとよさそうだ。

この坂を下ると外川漁港がある

外川駅の留置線には、引退したデハ801が保存されている。在りし日の姿を想像しながら、また外川駅から銚子電鉄旅をスタート。駅内でたい焼きを販売している観音駅を目指す。

外川駅の留意線にはデハ801が佇んでいる

子どもも大人もこの場所が好き

トンガリ屋根の駅舎と同じくらい目立つ大きなたい焼きの看板を掲げた観音駅は、皮が分厚くしっかりとした食べ応えのたい焼きの駅として知られている。ただ、焼き上げたものがなくなり次第閉店となるらしく、16時30分頃に訪れた時にはすでに閉店した後だった。どうしても食べたい人は、早いタイミングに訪れることをオススメしたい。

たい焼きはまた今度

こだわり豆のカフェラテで甘い休息

銚子電鉄巡りの最後は、仲ノ町駅と銚子駅からともに徒歩10分くらいのところにある「curoccho cafe(クロッチョカフェ)」へ。「銚子で落ち着ける場所」を目指して13年前にオープンしたカフェで、地元の人々が集う憩いの場として、また、仕事後の1杯に立ち寄る店として常連客も多いよう。

「クロッチョカフェ」は、こんがり焼けたサーファーでもある主人にちなんだネーミングだとか

東京・吉祥寺の自家焙煎コーヒーショップ「LIGHT UP COFFEE」から仕入れた豆を使用し、ドリンクは税込300円から用意。ドリンクの一番人気は「カフェラテ」(税込430円)で、バリエーション豊かななラテアートが魅力的。コーヒーが苦手な人にも楽しんでもらえるよう、コーヒーが入っていない「ベビーチーノ」(税込420円)や、マロンをプラスした「マロンチーノ」(税込420円)もそろえているので、子連れ旅にもぴったり。

「カフェラテ」(税込430円)にチョコをちょこっと

テイクアウトもできるベーグルやスコーンなどは全て手作り。朝3時から作り始め、ベーグルなどは常時15種類、スイーツは常時20種類を取りそろえているという。「キャラメルチーズケーキ」(税込420円)などのスイーツを店内飲食で注文すると、サービスでホイップやチョコなどでデコレーションしてくれるのもうれしいところ。一品一品に心がこもっている。

「キャラメルチーズケーキ」(税込420円)にも魚が泳いでいる

●information
curoccho cafe
住所: 千葉県銚子市中央町13-6
営業: 11時~18時(フードL.O17時、ドリンクL.O17時30分)
定休日: 水・木曜日
アクセス: 銚子電鉄「仲ノ町駅」「銚子駅」から徒歩10分

銚子駅からは、ヤマサ醤油の工場(銚子駅から徒歩7分)やヒゲタ醤油の工場(銚子駅から徒歩12分)にもアクセスでき、ともに無料の工場見学を実施している。また、銚子駅から徒歩5分のところには、地元の人たちが自らセレクトした海産物や農産物、銚子土産などがそろった「銚子セレクト市場」もある。銚子電鉄旅とあわせて、銚子グルメ・文化を楽しむ1日もいいだろう。

ヤマサ醤油工場見学では、いろんな醤油グルメも待っている

※記事中の情報・価格は2016年11月取材時のもの