背景を抱えたミステリアスな役
――改めて役柄を見ると、山下さんは、最近公開した映画『HiGH&LOW THE MOVIE』とは全然違う、老舗百貨店の御曹司を演じられましたが、いかがでしたか?
山下:そうですね、全然違いますね(笑)。ミステリアスなところがあったり、家庭にコンプレックスがあったりと、複雑な役だったんですけど、自分にない部分を演じさせていただいたので、非常に勉強になりました。いろんな役をやって、これからもチャレンジしたいという気持ちになれました。
――市原さんは胸キュンシーンもありつつ、胸に色々秘めた職人さんという役どころで。
市原:京都が舞台ということで、建物や着物、接し方にしてもしきたりにしても、すべてが日本らしくて、その中での立ち振る舞いというのが独特な作品でした。本音と建前が渦巻く中で、自分の言葉と本音のギャップがある役も多かったのですが、言葉と言葉の間や表情が好きで、自分を出せずに前に進めない姿、逡巡している姿が印象的でしたね。
――皆さん、色々背景に抱えてらっしゃるという設定でしたね。
市原:そこがひとつ、壁を乗り越えていくと展開が進んでいくのが、すごく魅力的な作品だなと思いました。
作中でタイプの女性は
――作中での女性陣、雛(佐々木希)、あられ(早見あかり)、ハナ(宮野陽名)、市雀(小島藤子)の4人の中でタイプの方を教えてください。
市原:タイプなんてないですよ! 好きになった人が好きなので!
山下:男らしいですね。僕は雛さんかな、やっぱり。長女であり、面倒見のいい一面もあり、手際もいいし、知的な感じもするじゃないですか。僕が次男で、けっこう自由奔放なもんで、ちょっと引っ張っててくれる、家庭的な女性の方がいいなと思いました。
――先ほど市原さんの手際の良さもほめてましたが、手際がいいのは重要なんですか?
山下:そうですね、好きですね。
――市原さんはいかがでしょうか?
市原:やっぱり、あられですね。繊細さと大胆さの振り幅がすごく大きいですし、一緒にいたら絶対毎日ケンカしてるんだろうなって感じなんですけど(笑)。
山下:あられちゃんは、あかりちゃんそのままですよね。どっちが本物かわからない(笑)。
市原:漫画から飛び出してきたような(笑)。本当に、主演があかりだからこそ、みんながそれぞれ肩書きを外しても話せるくらい、仲が深まったと思うんです。あそこまで全部さらけ出す女優っていないと思うんですよね。相手にどう思われるかわからないし、勘違いされることもたまにはあると思うのですが、臆することなく作品に身を委ねていける勇気がすごいですね。
山下:撮影中もあのまんまですよね。素敵です。
――おふたりの間ではいかがですか? 撮影に入られてイメージの変化や、逆にそのまんまだったところなど。
山下:市原さんといろいろ話して、本当にいい男だなと思いました。イメージそのまんま変わらず、ピュアで真っ直ぐで、男らしい。僕の会社も、まあ男らしい会社なんですけど、他社で久々に男らしい方と出会ったなと思いましたね。ダンスができれば、一緒のグループでもやれるなと(笑)。
市原:五代目、就任してもいいですか?(笑)
山下:四代目から考えましょう(笑)。
市原:僕は初対面の前にイメージ持ちたくなくて、顔を合わせて知っていきたいタイプなのですが、初めてお会いした時から、謙虚さとピュアさが伝わってきました。常に、人に対しても情報に関してもアンテナを張って、どこに対しても好奇心があるような姿が印象的でしたね。一緒にいると、いつも新鮮でした。
京都撮影でリフレッシュ
――ちなみに京都の撮影では、何かお土産を買われたりしたんでしょうか。
山下:僕は京都出身なんで、土産はあまり買わなかったです。けっこう実家から撮影現場に通ったりもしていたので、家族にも会えたし、母親の手料理も食べられたので、良い機会だったなと思いました。
市原:僕はベーシックなお守りを、下鴨神社で買いました。あとはおいしい食べ物をたくさん食べましたね。京都で撮影があると、本当に嬉しくてたまらないです。
山下:何か食べてたね。写真がいっぱい送られてきました(笑)。
市原:おいしいご飯がたくさんあるので、それが幸せでした。
山下:けっこう、リフレッシュできましたね。
――それでは、最後に作品の見どころを教えてください。
山下:桧山は普段は標準語で話してるんですけど、関西弁に変わる瞬間があるんですよ。そのシーンがすごく良くて、思いを伝えたいために、鎧を脱いで素の桧山に戻った瞬間だと思うので、見ていただきたいですね。
市原:全体を通して、京都の街並みが印象的ですし、着物や京菓子もすごく素敵なので、色々な面で楽しんでいただけると思います。なんと言ってもラブストーリーなので、三姉妹の恋に感情移入していただいて、見終わった後に、学校や職場や食卓で、会話の中に福家堂本舗を入れていただけると嬉しいです。「私はああいう恋がいいな」「ああいう人がいいな」と、題材にしやすい作品だと思います。