引き続き、ティーピーリンクジャパンの田中氏が新製品を紹介。Archer C3150は4本のアンテナを備えた802.11ac製品で、最大3,150Mbps(理論値)という高速性が魅力だ。BroadcomのNitroQAM(1024QAM)の4ストリームによって、転送能力が従来比で25%向上したほか、2.4GHz帯だけでも1Gbps超えとなっている。また、ビームフォーミングとMU-MIMO、Airtime Fairnessによって、通信速度が異なる複数製品を転送しても安定した性能が発揮できるとした。
安全性の観点では、PPTPやOpenVPNサーバーとして利用できるSecure VPNアクセスに対応。トレンドマイクロと協業してURLフィルタリングやIPS機能を持っており、今後のIoT保護を視野に入れた設計になっているという。このように高スペック製品ながら、20,000円前後の想定価格に収まっている。11月中旬の発売を予定している。
Archer C5400は、8本のアンテナと5GHz帯を2チャネル同時通信に対応したフラッグシップ製品だ。最大の特徴は、5GHz帯×2、2.4GHz帯×1という3バンド設計になっているところ。NitroQAM(1024QAM)の4ストリームと相まって、最大5,400Mbpsと極めて高い転送能力を持つ。
また、5GHz帯の一部(W53/W56)は気象レーダーなどが利用する周波数帯なので、使われていないことを確認しつつ、ルーター側でW53/W56を使っている最中に気象レーダーを感知した場合は、電波を止める「DFS」という機能が必要だ。DFSは、電波が一定の時間使われていないかモニタリングしなければならないので、切り替えに時間がかかる。Archer C5400は、1つ5GHz帯で監視することによって、1秒以内のチャネル変更を可能とする「Zero Wait DFS」、および最適なバンドを選択する「Smart Connect」を搭載。販売価格は30,000円前後を想定しており、出荷は12月末を予定している。
Archer C55は、日本向けにデザインされた製品、比較的コンパクトな筐体と、想定価格が5,000円前後と安価なのが特徴だ。12月上旬の出荷を予定している。
RE450は、450+1300Mbpsとちう日本市場で最速の中継器として登場。Gigabit LAN端子を介したブリッジモードも用意されており、宅内の電波到達距離を伸ばしたり、ネットワークTVの接続などに利用できる。価格は7,000円前後を想定しており、本日(11月8日)から出荷開始となる。また、トラベルルーターの「TL-WR802N」は2,000円前後の想定価格で、同じく本日(11月8日)から出荷可能とした。
IoT時代に向けたルーターを意識し、トレンドマイクロと提携してURLフィルタやIPSを提供する |
Archer C5400は、5GHz帯を2バンド搭載し、1000+2167+2167Mbpsの伝送能力を持つ |
5GHz帯で気象用レーダー対策:DFSが必要なW53/W56に対し、1秒以内のバンド切り替え機能を搭載 |
Smart Connectはマルチバンドルーターで複数用意されるSSIDを1つにまとめ、最適な転送を自動的に行う |
Smart ConnectとZero Time DFSが独自技術
今回の製品で面白いと思ったのが、Smart ConnectとZero Time DFSだ。前者は、1つのSSIDで、機器と速度にマッチする最適なバンドに接続する技術だ。従来のマルチバンドアクセスポイントの場合、5GHz帯と2.4GHz帯で別のSSIDを用意し、ユーザーがバンドを選ぶ必要があったが、どちらが最適なのかはわかりにくい。Smart Connectの場合、SSID名が1つなのでシンプルであり、かつ機器や無線の混雑状況に合わせて最適なバンドでの接続となる。
後者(Zero Time DFS)は、5GHz帯の無線LAN機器では必須の、DFSによる周波数変更を高速に行うものだ。DFSは一定時間のモニタリングが必要なので、高速に切り替えることはできないが、Archar C5400は5GHz帯を2つ同時に使えることを応用。片方がモニタリングすることによって、1秒以内の変更を実現する。どちらの技術もTP-Link独自だそうだ。
現在、日本市場はオンライン通販中心だが、今後は店舗での販売も進める。具体的には、ヨドバシカメラやビックカメラといった大手量販店の店舗で販売を始める予定だ。店舗販売が遅れた理由としては、「現在、ロゴを切り替えている最中で、新旧のロゴが混在するのは店舗側にとって都合が悪い」ためとした。
国内のネットワーク機器の市場は日本ブランド品が多く、海外製品の無線LANアクセスポイントは少なかった(ASUS製品ががんばってはいる)。TP-LinkやSynologyといった海外メーカーが、独自機能と世界シェアを引っ提げて参入してきているので、これからの無線LANアクセスポイントは選び甲斐が大きくなりそうだ。